So-net無料ブログ作成
  • ブログをはじめる
  • ログイン

自民党「特定秘密保護法 ―3つのポイント―」を検討する [特定秘密保護法案]

2013年12月24日に自民党は「特定秘密保護法 ―3つのポイント―」を公開しました。
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/123257.html

特定秘密保護法についての「皆さんの誤解を解きます」として用意されたビラです。
今回はこの内容を検討します。

私の立場は毎回書いてますが、秘密を統一的に管理する法律は必要、だが、今回の特定秘密保護法は不備が多すぎて反対という位置です。詳しくはこの記事を参照

以下、見出しを抽出して、必要に応じて内容部分も引用していきます。
論じやすくするために、適宜丸数字などを補います。

上記にリンクしたビラ本体を見ながらご覧頂く方がわかりやすいかと思います。


1 この法律は、国家・国民の安全を守ることが目的です。
 ≪緊迫化する国際情勢の下、一日も早い法整備が必要≫
 ≪国際的には当たり前の法律≫


(コメント)
安全保障のために「秘密を守る」ということについては、おそらく否定的な人はそれほどいないのではないか。

揚げ足を取ってるのは承知だが、「ルールを作ったことによって、国際的な信用が増し、より核心に迫る情報が得られるようになります」というのは、そんなに簡単な話でもないと思う。
特定秘密をハッカーなどに盗まれたりなどしないための情報セキュリティーのあり方など、むしろ情報の管理システムのあり方が重視されると思うが。


2 一般の方の生活には、全く影響はありません。
 ≪政府の「特定秘密」のほとんどは、「衛星写真」と「暗号」です≫
(①)
 ≪一般の方は政府の「特定秘密」に触れることはありません≫ (②)

(コメント)
①「特定秘密」のほとんどは「衛星写真」と「暗号」です

これは、議論がずらされているように思う。
ずっと、安倍首相が言っていたのは、現在「特別管理秘密」として指定されているものの9割が「衛星写真」であるということだ(12月9日記者会見)。
少なくとも一国の首相がこういったことでウソはつかないだろうし、また特別管理秘密への質問主意書への答弁で挙がっている例を見ても、この裏付けはできるだろう。

また、「特別管理秘密」よりも「特定秘密」が絞られるということも国会で述べている(11月26日→産経記事)。
よって、9割ではなく「ほとんど」という言い回しになったのだろう。

問題なのは、首相の発言などからは、「今はほとんどが衛星画像」ということしか保証されていないことである。
つまり、今後も「衛星画像」や「暗号」がほとんどだと断言できる根拠が無いのだ。
「特定秘密」にしてしまえば外部からは確認できない以上、首相が言っていることは検証できない。

さらに、くせ者なのが実は「件数」の数え方
首相が9割と言っているのは、おそらく文書の「件数」が9割ということで考えているのだろう。
だが、この「1件」あたりどれだけの分量の文書があるのかは、現場の人間以外わからない。

ちなみに、私は宮内庁に情報公開請求したとき、「行政文書ファイル」1件に簿冊1000冊以上入っていたことがあってびっくりしたことがある(さすがに宮内庁も自らその酷さを認めていたが・・・)。
これは極端な例であるが、もともと「外部に見せたくない」ものは、タイトルを曖昧に付けて、その下に大量の関係文書を入れておくというのは十分にあり得る話である(情報公開請求を行う時に利用する「行政文書ファイル管理簿」が検索に使いにくいというのは有名な話)。

もちろん、特別管理秘密を私が見れない以上、「推測」の域は出ない。
だが、こういう可能性もあり得るということは頭に置いてよいことだと思う。

②一般の方は政府の「特定秘密」に触れることはありません

これは一見するとすんなり読めてしまう部分。
もちろん、本来「特定秘密」にあたるものが、そうやすやすと一般の目に触れる所に出てくるはずがない(というか出てきていたら、情報管理がまずすぎる)。

これは「問題の立て方」が「狭い」のが問題。
そもそもの大見出しである「一般の方の生活には」という立て方自体が狭い。

確かに自民党が示唆しているとおり、「自分が特定秘密を入手して捕まるか否か」という点だけを考えれば、「一般の方は捕まる人は出ません」というのは、おおよそはその通りだと思う。
ただ、「共謀」「教唆」でも逮捕される以上、「全く影響はありません」と断言はできないだろう。
何をもって「共謀」「教唆」とするのかは、警察などの権力側が決定権を持っているのだから。

ただ、問題はそこではない。
そもそも「直接本人に影響があるか否か」という所が焦点なのがおかしいのだ。
(なお、保護法案審議終盤の朝日新聞の「直接的な影響の例」の報道は、安倍首相の土俵に乗って論を展開しているためにとんちんかんなものが多く、むしろ首相を利していたとしか思えなかった。)

「秘密保護」という問題は、民主主義のインフラである「知る権利」とのバッティングこそが焦点である。
民主主義を機能させるためには、情報がきちんと国民に提供されることが絶対に必要である。
その情報に基づいて、国民は選挙などの政治行動をするからだ。

だが、一方で安全保障上の重要な情報には、リアルタイムであらゆる国民に見せられないことはありうる。
では、その「秘密」と「知る権利」を両立させるためにはどうするか。

「秘密」を極小化する仕組みを作ること。
「秘密」指定をされた情報は、いつかは必ず国民に公開され、検証の対象とすること。


この二つが必要なのである。

ではこの二つは今回の特定秘密保護法で保証されているのか。

保証されていない。

3にて具体的に説明するが、結局この部分が保証されていない以上、安全保障や公安関係の情報の多くは「特定秘密」に指定されて国民に提供されない。
特に安全保障関係の情報が恣意的に特定秘密をかけられて伏せられた場合、国民の「政治判断」への影響は甚大なものになるだろう。

その意味で「生活に全く影響ない」というのは論点をずらしているとしか見えない。


3 秘密保護法は、“官僚の勝手を許さない”ための法律です。
  ≪今まで、ルールがなかったことが問題だったのです≫
(①)
 ≪二重三重のルールができます≫ (②)
 ≪国立公文書館を積極的に活用します≫(③)

(コメント)
①今まで、ルールがなかったことが問題だったのです

「今までルールがなかった」のは全くもってその通り。
私は冒頭でも述べたように、秘密を管理する統一法は必要という立場である。

ただ、そこで引用されている例は恣意的(民主党政権時の尖閣ビデオ問題)。
そもそも、秘密に関するルールも作らずに、50年を超える期間、政権を握っていたのはどこの党なのですかと。

「自分たちがずっと恣意的にやっていたのはまずかった。だから今回、法で統一的に管理することにしたんです」と言うならわかる。
自分たちを棚に上げて、民主党の失策のみを取り上げるのはフェアではなかろう。

(これは「防衛秘密廃棄問題」にも同じ事が言える。安倍首相は「4万件廃棄されたうち3万件が民主党政権」と言って責任転嫁しているが、それは廃棄記録自体が5年で廃棄されているから遡れないだけで、その前の自民党政権時代にも同様に捨ててる。国立公文書館に防衛秘密にあたる文書が移管された話など聞いたことがない。)

②二重三重のルールができます

ここは解説の部分も引用しておく。

指定は外部有識者の会議の意見を踏まえた政府統一基準に基づき、大臣が行います。さらに、総理大臣が、各省庁の運用状況を厳しくチェックし、有識者の意見を付して、毎年、国会に報告します。ですから、官僚だけで決めることはできません。

これはすでに以前のブログで書いたので細かく繰り返さないが、まず「外部有識者の会議」=情報保全諮問会議は、法定の機関でなく権限も限定的。
しかも運用がきちんと行われているかの監察権限もない。

総理大臣がチェックすると言うが、チェックするのは保全監視委員会や情報保全監察室という、秘密指定を行う省庁の次官やその部下達が出向してくる機関であり、その報告を総理大臣が受ける仕組みである。

この監視委員会や監察室は、どう見ても内部統制機関でしかない(ある省で特定秘密にしていた文書が他でも特定秘密になっているかチェックするなど)ので、チェック機関としては機能するとは思えない。
よって、恣意的な拡大解釈や、特定秘密の間にこっそり廃棄される可能性を消すことができない。

また、安倍首相はインタビューで、9割は衛星写真でほかに暗号などがあるのだから、「残りはかなり少なくなる」として、首相でチェックは十分できると示唆している。

ものすごく好意的に見てみる。

特別管理秘密は42万件だから、「特定秘密」は多少減るとして35万件ぐらいとする。
その95%を衛星写真や暗号と仮定すると、17500件。
もっと多く見て、99%が衛星写真と暗号と仮定しても3500件。

上記したように、1件あたりの文書量は不明である。
これを多忙な首相がチェックできるというのだろうか。

目玉的に特定の情報だけをピックアップしてチェックできるかもしれないが、やはり官僚のいいなりになる以外ありえないと思う。
正直、チェックできるほど首相は暇ではないと思う。

結局、こういったチェックの仕組みというのは、「存在する」ことに意味があるのではなく、「機能する」かどうかで判断する必要がある。

首相がこれまで提示しているものからは、恣意的な判断をさせないしくみが「機能する」とはいくら好意的に見ても厳しいと言わざるをえない。
「官僚の勝手を許さない」と言っているが、むしろ「政治家の勝手を許さない」になりかねないように見える。

③国立公文書館を積極的に活用します

ぜひ積極的に活用していただきたい。
だが、そこまで言っている以上、当然、「国立公文書館の拡充計画」は用意されているんですよね!

いまの国立公文書館は、独立行政法人であり、正規の職員数は50人に満たない。
書庫は2016年には満杯になり、新館を作らないとパンクしてしまう。
この拡充をしなければ、大量に移管されても、目録の作成や公開の審査などだけでも大変な作業量になり、まともに機能しなくなる可能性が十分にありうる。
今現在ですら、職員が過重労働で大変だという噂が漏れ伝わってくる状態だ。

是非とも「大国日本」にふさわしい国立公文書館へと拡充していただきたいと思う。


以上で具体的な検討は終わり。

総合的に見ると、自分に有利な土俵を引いて、その上で「大丈夫です!」と叫んでいるようにしか見えない。
これで不安を解消させようとしているのであれば、説明が全然足りていないし、そもそも恣意的な運用をできないような制度的な保証を作る以外に、結局不安を解消させることなどできないと思う。


本年の更新はこれにて終了です。
来年も公文書管理制度の視点から、この特定秘密保護法の問題を引き続き論じていこうと思います。

よろしく御願いいたします。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。