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秘密指定の期間をめぐるやり取りがズレている(特定秘密保護法案) [特定秘密保護法案]

11月20日に自民党と維新の会が特定秘密保護法案の修正案に同意をしたというニュースが流れている。
その中には、「特定秘密の指定期間を「最長60年」とし7項目の例外を設けること」という内容が入っている。

つまり、

(原案)「特定秘密」の指定は5年以下+延長可、30年を超える場合、内閣の同意
     ↓
(修正案)上記の内容+特定の分野(暗号など)以外は60年を超えさせない。

ということのようだ。
維新の会としては、いつまでも際限なく延長される点に歯止めをかけたとでも言いたいのだろう。

だがそもそもの前提の考え方がおかしい。
これではむしろ「60年までは延長し放題」という解釈を行政機関側がしかねない。
制限を付けたように見えるが、むしろ延長を推奨する可能性が高い。
少なくとも「歯止め」というのであれば、「原則30年で解除」「例外は60年まで」「それ以上はダメ」というのが筋論だ。

ではなぜこんな修正案が出てきて、これが「良くなった」と解釈されてしまうのか。
それは、「特定秘密解除」=「即全面公開」と勘違いされているからだ。

「特定秘密を解除する」というのは、あくまでも「特別な管理を止める」というだけであり、解除した後は情報公開法や公文書管理法に沿って、公開や非公開が決められることになるのだ。

解除後も行政機関が対象文書を持ち続ければ情報公開法が、解除後に国立公文書館等に移管された場合は公文書管理法が適用される。
この2つの法律には、個人情報の公開制限など、さまざまな公開制限規定がある。
防衛や公安関係も非公開にすることが可能である(国立公文書館の場合は「時の経過を考慮」した結果、大丈夫だと判断されれば公開される)。

よって、「特定秘密が解除」されたからといって、その文書が「すぐに全て公開」にはならないのだ。

だが、なぜか「特定秘密解除」=「即全面公開」と思われているために、「まだ公開できないものは「特定秘密」を延長指定して、各行政機関でそのまま保持する」という発想になるのだ。

本来ならば、30年経過した時点で国立公文書館に移管をし、国立公文書館の審査に基づいて公開・非公開を客観的に決めるべき
また、国家の安全保障に関わる文書については、各行政機関が「意見書」を国立公文書館に提出することができるため、国立公文書館に移管した上で非公開ということも可能なのである(あくまでも意見書を「参酌」するだけなので、絶対に国立公文書館が従わなければならないという規定ではない)。

こういうことを書くと、「なんだ特定秘密が解除されても見れないじゃん」と思われるかもしれない。

そうではない。
国立公文書館に移管をするということは、「いつかは公開される」ことを「保証」することなのだ。

例えば、最近の国会の議論で、公安情報などの情報源の秘匿が必要だから、これに関係する特定秘密は国立公文書館に移管せずに廃棄するという答弁を、政府関係者がしていたはず。
本来、こういった文書もきちんと国立公文書館に移管されなければ、その情報源からの情報の妥当性を検証することはできない。
でも、一方で、その情報源が存命だった場合、その文書の公開によって本人の生命や名誉が傷つけられる恐れはあり得るだろう。

そういった情報の場合、50年とか100年といった単位で、名前の部分だけは墨塗りする必要はある。
でも、200年後には見せても問題ないかもしれない。
「いつか必ず公開される」というのを保証するのが公文書館というものである。

「そんな後に公開されても意味ないじゃん」と思うかもしれない。
でも「いつか公開される」ことが保証されていれば、官僚達の仕事への緊張感は相当に変わるはずなのだ。


なぜこういった「勘違い」は生まれるのだろうか。
維新や自民の政治家達は、本当に「勘違いをしているだけ」の可能性が高そうだ。
だが、この法案を作っている官僚達が全く分かっていないとも思えない。

ではなぜこういった修正になるのか。
それは、官僚達が国立公文書館を信用していない(存在自体を認知していないのもあるかも)からではないか。
つまり、彼らは「移管されるとすぐに全面公開される」と警戒しているのだ。

当然、国立公文書館が専門的な知識でもって公開の妥当性を審査するのだから、各行政機関と公開・非公開の判断が変わる可能性はある。
だが、国立公文書館のことを良くわかっていない、もしくは「舐めてる」官僚達にとっては、「信頼できない」国立公文書館に文書を渡すということ自体がナンセンスだという考え方なのだろう。
だから「延長して持ち続ける」という話になるし、その限界を60年にしようという、ズレた話になってしまうのだ。

ただ、いまの国立公文書館は、独立行政法人でありかつ職員の数も40数名しかいない組織である。
よってある意味「舐められて当然」という地位に留まっており、米国政府の秘密を管理する国立公文書館記録管理庁とは規模や権限が桁違いに異なる。

そもそも論としては、先に国立公文書館をはじめとする公文書の管理を監視したり、内容を検証する機関などを整備・強化しないといけないはずなのだ。
なのに、そこが整備されず、公文書管理法から逸脱する特定秘密制度がかぶさってくる。
公文書管理制度から考えると最悪のシナリオが進んでいると言わざるをえない。

もう少し公文書管理制度をきちんと理解した上で議論をしてもらえないだろうかとつくづく思う次第だ。
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コメント 2

経世済民

これは似非スパイ防止法案です。外国人による機密情報取得への罰則がありません。
これでは中国も韓国もアメリカもロシアもスパイし放題です。
この法案の主眼はTPPの交渉内容を隠蔽するためだと思います。

一つ売国が進みます…
http://ameblo.jp/masato1982/entry-11707939430.html
by 経世済民 (2013-11-22 17:55) 

瀬畑 源(せばた はじめ)

> 経世済民さま

スパイ防止法うんぬんは脇に置きますが、この法律は外国人も対象だと思います。
「日本国民」に限っていないし、26条に国外も対象とありますし。刑法第2条は国籍を問いません。
週刊プレイボーイがどうやら匿名の弁護士の話としてそういう報道をしたようですが、ただ単にわかっていないだけだと思います。

だから良い法案などと言う気はさらさらありませんが、批判をする際に誤った認識からしてしまうのは、かえって相手を利するような気がします。
by 瀬畑 源(せばた はじめ) (2013-11-23 13:56) 

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