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特定秘密保護法案について考える(9月27日現在) [特定秘密保護法案]

安倍内閣の下で、着々と特定秘密保護法案(秘密保全法案)の作成が進んでいる。
昨日(2013年9月26日)には自民党の会合に法案の原案が提示されたとのことであり、各社で「報道の自由が明記される」一方で「知る権利は書かれていない」(翌日に森担当相は書くことも検討と述べた)などとの報道がなされている。

昨日某所から取材を受けて話しているうちに頭の中が少し整理されたきたので、あらためて法案に対する考え方をまとめておきたい。また後期の授業が始まったこともあり、まとめて書ける余裕が無くなる可能性が高いですし。
ただし、日々状況が変わっているようなので、2013年9月27日の段階での考えということで。

すでに前回のブログで書いたように、特定秘密保護法案と公文書管理法はバッティングする可能性が極めて高い。
ブログを書いた後で、情報クリアリングハウスの三木由希子さんがこの法案の問題点をまとめられたスライドを公開し、さらにさまざまな関連報道がなされて情報が集まってきたので、あらためて公文書管理法との関係を整理する必要が出てきたと考える。

今回の法案の概要を改めてまとめると

・漏えいすると安全保障上問題となるような重要な文書は、行政機関の長の判断で「特定秘密」指定ができる
・「特定秘密」の有効期間は5年だが、行政機関の長の判断で更新可能(回数制限は付いていない)
・職員・外部(業者など)の担当者が「特定秘密」を扱うには、事前に「適性評価」をパスする必要がある。
・「適性評価」は過去の経歴や飲酒時の状態などもチェック対象。家族や同居人も対象となる。
・漏えいした場合、した側だけでなくさせた側も処罰の対象となる。最高刑は懲役10年。


となる。

公文書管理との関係で最も問題となるのは、「特定秘密」の指定を「行政機関の長」のみの判断で可能であるということ。
つまり、指定が適切であるかどうかのチェックが、外部から一切入らないということである。
また、「特定秘密」を受けた文書については、『毎日新聞』9月23日朝刊の記事によると、

内閣官房内閣情報調査室の能化(のうけ)正樹次長は、特定秘密の文書保存・廃棄について「情報が秘密指定中は公文書管理(のルール)に移行することはない」と説明。特定秘密情報が公文書管理法の適用を受けず、省庁の判断で廃棄できる可能性を示唆した。

とのことである。

公文書管理法はそもそも行政文書の管理(作成から移管・廃棄まで)を透明化するために作られた法律である。
管理法の適用を受けていれば、毎年管理状況について内閣総理大臣に報告義務があり、さらに問題があれば内閣総理大臣の命によって実地調査も可能となっている。
つまり、当該行政機関以外からのチェック機能が働くということである。

では、管理法に従わないという論理はどこから出てくるのか。

公文書管理法第3条には次のような条文が入っている。

 公文書等の管理については、他の法律又はこれに基づく命令に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。

つまり、他の法律で公文書管理について特別の定めがあれば、公文書管理法の適用外にできるということである。

私自身、今回の法案の関係で、はじめてこの条文の真の存在理由がわかった。
こんな抜け道を作るための条文だったとは・・・
内閣府の説明では、刑事訴訟記録を例にしていたので全く気づかなかった。

そして実はこの条文はすでにある文書を隠すためにすでに使われている。
それは、自衛隊法に基づく「防衛秘密」である。

自衛隊法第96条の2には

防衛大臣は、自衛隊についての別表第四に掲げる事項であつて、公になつていないもののうち、我が国の防衛上特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法 (昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項 に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を防衛秘密として指定するものとする。

との規定がある。
先述の『毎日新聞』の記事によると、2001年の改正で入った条文とのことであり、情報公開法の施行と同時に作られたものと推測される。
ちなみに、今回の特定秘密保護法案は、この自衛隊法の条文を明らかに参照した跡がある。

そして、この「防衛秘密」は現在公文書管理法の適用を受けていない。
三木さんの調査によれば、適用外であると防衛省の担当者は明言しているとのこと。
また、『毎日新聞』の先述の記事でも

防衛省の訓令では、秘密指定文書は保存期間が満了すると官房長や局長らの承認を経て廃棄される。「秘密」の必要がなくなっても国民は目にすることはできない。

とのことであり、行政機関内部の判断で文書が廃棄できる以上、公文書管理法の適用外であることは明らかだろう。

法的な根拠は、おそらく自衛隊法施行令の第113条の2~14に、防衛秘密文書の管理規定が書いてあるので、これが公文書管理法第3条の「他の法律又はこれに基づく命令に特別の定めがある場合」に該当しているのではないか。

「防衛秘密」がすでにこういった防衛省内で独自に管理されているという状況である以上、「特定秘密」も同様の扱いを受ける可能性は高いだろう。

なお特に、「防衛秘密」に指定した文書を、最終的には国立公文書館に移管せずに廃棄しているという現状は極めて憂慮すべき問題である。
米国では、こういった秘密指定文書でも、必ず国立公文書館に送られ、一定期間の後に公開されて検証の対象となっている。
というのは情報は劣化するものであり、一定の年限が経過すれば、ほとんどの情報は隠す必要の無い文書となるからだ。

三木さんも述べているが、秘密指定は「知る権利の保障の放棄」や「アカウンタビリティーの放棄」を意味しないのだ。
すぐには見せられなくても、いずれは検証のためにきちんと公開をするということは必要不可欠である。
今の法案概要を見る限り、「特定秘密」の指定は行政機関内で永久に更新可能なので、重要な文書は行政機関内で隠し持ち、それ以外は秘密裏に廃棄して、国民に対する説明責任を放棄するということになるだろう。

よって、「特定秘密の指定に第3者が関与できる仕組み」と「公文書管理法に基づく文書管理の運用」の2つは、知る権利との関係で焦点となるのではなかろうか。

「報道の自由」を認めるか否かみたいな所のみで議論が終結しないことを願っている。
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