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移管・廃棄簿について考える [2011年公文書管理問題]

公文書管理法が施行されてから半年以上経過し、さまざまな変化がおきています。
ただ、その中には施行後に「後退した」点もあるようです。

次に書く話は、一つの問題提起として書いておきます。
私自身が気づいた話ではありませんが、問題の一つとして認識してもらえればと思います。

先日、ある外交史の研究者の方から、「行政文書管理ファイル簿において、文書が「移管・廃棄」された場合、文書名が即座に管理簿から削除されてしまうので、いったいどのファイルが移管ないしは廃棄されたのかわかりづらくなったということを伝えられた。
これまでは、移管・廃棄されてから5年間は管理簿に記載されていたため、どのファイルが移管・廃棄されたかがある程度追跡することができたのだという。

そこで、過去の制度と現在の制度を改めて比較をしてみた。

公文書管理法施行以前の管理簿の扱いについては、「行政文書の管理方策に関するガイドラインについて」によって定められていた。
これの「第5 行政文書の管理台帳」の(5)によれば、「保存期間の満了に伴い廃棄又は移管の措置を講じたときはその旨を追記し、その後5年間経過した時点で削除することとなる」との記載があり、廃棄・移管をした場合は5年間管理簿に情報を残さなければならなかった。

施行後の管理簿の扱いについては、「行政文書の管理に関するガイドライン」に記載され、これに基づいて各行政機関の管理規則が定められている。
これの「第6 行政文書ファイル管理簿」の2の(3)によれば、「文書管理者は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、国立公文書館等に移管し、又は廃棄した場合は、当該行政文書ファイル等に関する行政文書ファイル管理簿の記載を削除するとともに、その名称、移管日又は廃棄日等について、総括文書管理者が調製した移管・廃棄簿に記載しなければならないと記載されており、移管・廃棄をした場合は管理簿から「削除」した上で「移管・廃棄簿に記載する」となっている。

つまり、先の研究者の方がおっしゃっているように、現在ではファイル管理簿からは移管・廃棄についてわからなくなってしまっている。
なお、「移管・廃棄簿」を自発的に各行政機関が公表する義務は、ガイドラインでは定められていない。

もちろん、この「移管・廃棄簿」は情報公開請求を行えば見れるものだが、移管・廃棄される文書は膨大であり、公開されたとしても、電子データのままもらえるのであれば検索が可能であるが、紙や印刷されたものをPDF化したものなどが配布された場合、一つ一つデータを確認する必要に迫られる。
また、自分が知りたいデータが「何年度に廃棄・移管されたのか」もわからないので、この情報公開請求も簡単ではない。

この問題については、正直自分は全く気づいていなかった。
指摘されて初めて、「なるほどこれは以前より後退している」ということに気づいた。

どの文書が移管・廃棄されたのかが公表されていることは非常に重要である。

移管については、のちに国立公文書館等で公表されれば、どの文書が移管されたかがわかるようになる。
現在では移管されてから1年以内に目録登載義務が国立公文書館等にある。
ただ、移管・廃棄の全体像を把握するには、国立公文書館等の検索システムだけではわかりづらいだろう。

大きな問題となるのは「廃棄」された文書についてである。
廃棄簿は以下の点から公表が必要である。

まず、歴史学上の問題においては、その部局で業務が行われていた際に、どういう文書が作成されていたのかという全体像を把握する上で廃棄簿は必要である。
移管された文書は、作成されていた文書の一部に過ぎない。移管された文書の位置づけを考える際にも廃棄簿は必要不可欠である。

次に、移管・廃棄業務を監視するために必要である。
移管・廃棄は各行政機関の長によって決められることになっている。
内閣総理大臣(事実上内閣府)が廃棄についてはチェックをしているが、膨大な件数があるために、必要な文書を廃棄から救い出せているかは未知数である。
そのため、廃棄簿を公表しておくことは、外部からチェックを行うためにも必要である。

よって、この「移管・廃棄簿」を各行政機関が自発的に公開することは検討されてよいのではないだろうか。
これは、国民への説明責任を果たす上でも必要な手続きであり、公文書管理法の理念にもかなっているように思われる。
また、特に法改正は必要ない事項であり、内閣府からの通達レベルで何とかなるレベルだろう。
さらに、各行政機関は「移管・廃棄簿」自体を電子データとして持っているわけだから、それをPDF化してウェブサイトに上げればよいだけであり、大した手間はかからない(ファイル名に個人情報とかが入っていれば墨塗りするなどの必要はあるだろうが、それほどの件数とは思えない)。

先述したように、情報公開請求すれば確かに公開されるであろうが、1年間で100万件の移管・廃棄対象文書があるということを考えれば、請求する負担を国民の側におしつけるのはいかがなものかと思う。
「移管・廃棄簿」の公表を是非とも検討してもらえればと思う。


なお余談ではあるが、「移管・廃棄簿」は各行政機関で30年間保存され、その後「廃棄」されることが決まっている。
ただし、内閣府が廃棄の承認に関する文書を国立公文書館に移管するとのことなので、「移管・廃棄簿」自体は、30年経過した後に内閣府から移管され、国立公文書館等で公開されることになろう。

このあたりの経緯については、三木由希子さんのブログに詳しいので、そちらを参照のこと。

「廃棄簿の保存期間と廃棄」
http://johokokai.exblog.jp/15577258/

「移管・廃棄簿の扱い 第6回公文書管理委員会①」
http://johokokai.exblog.jp/15801042/
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