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『同時代史研究』に論文が載りました。 [天皇関係雑感]

2010年11月刊行の『同時代史研究』第3号に私の論文(研究ノート)が掲載されました。

瀬畑源「昭和天皇「戦後巡幸」における天皇報道の論理―地方新聞の報道を手がかりとして―」

1946年から1951年(1954年の北海道は除く)に行われた昭和天皇の「戦後巡幸」(沖縄県を除く全都道府県を訪問した)を、地方新聞(県紙)の報道(社説と記者の感想)から量的分析をして、その各紙に共通する特徴を論じたものです。

はっきりいって、ツッコミどころ満載の論文だと思います。方法論も含め。
そもそも歴史学の論文と言って良いのかもかなり怪しい。正直、良く載せてくれたと思う。

ただ、自分で言うのも何ですが、これまで書いた論文の中では、一番読んでいて興味を引いてもらえるのではないかとは思います。
また、「自分らしい」論文だなとは思います。自分の性格がもろに出ているような気がします。

なお、今回の論文はまったく公文書とは関係ないです。
戦後巡幸の公文書を使って論じた部分は、博論には入っているのですが、まだ切り売りして発表していません。これも何とかしたいんですが。

下記に、英語での要約(本誌に収録)のために作った日本語版の要約を載せておきます。
学会誌ですが、日本経済評論社で販売しています。よろしければお手にとってくださいませ。

要約
 本稿は、アジア・太平洋戦争敗戦後の新聞に見られる天皇記事を分析し、そこに表れる天皇像の特徴から、戦後の天皇報道に通底する論理を抽出しようとする試みである。この解明のために、昭和天皇の「戦後巡幸」における地方新聞の「社説」及び「記者の感想」の量的分析を行う。
 地方新聞の戦後巡幸における天皇報道は、「戦前」からの断絶を基礎とし、「人間」としての天皇が国民と直結する姿こそ新憲法における「象徴」天皇の理想像であるとした。そして、戦後巡幸で新聞記者達が報じ続けた「一人の人間」として「国民と共にある」昭和天皇の姿が、憲法第一条の「国民の総意」としての「国民統合の象徴」という概念の内実を埋めていった。
 この記者達の「人間宣言」や「憲法第一条」を論拠とした報道方針は、敗戦後の取材規制の緩和や、取材の際に見た天皇の姿という「実感」によって支えられていた。また彼らは、「民主化」を啓蒙する担い手であるという強い自負を持ち、新憲法に正当性を置いた価値観を、指導者層だけでなく奉迎者にまでも守ることを求めていった。そのため、天皇制を批判する勢力だけでなく、天皇制の権威を利用しようとする勢力をも批判の対象としていった。彼らにとって憲法第一条に描かれた天皇制は絶対的なものであり、これを守ることが戦前への回帰を妨げ、社会の安定を図るために必要なことであったのである。

追記(11/28)
目次が学会ウェブサイトに載ったので転載しておきます。

論文
谷本清とヒロシマ・ピース・センター――占領下広島における原爆被害認識に関する考察 川口 悠子 3-18
初期東映動画における映像表現と制作体制の沿革 木村 智哉 19-34
サハリン残留韓国・朝鮮人の帰還をめぐる日韓の対応と認識――1950~70年代の交渉過程を中心に 玄 武岩 35-50

研究ノート
昭和天皇「戦後巡幸」における天皇報道の論理――地方新聞の報道を手がかりとして 瀬畑 源 51-63

研究動向
韓国における日本近現代史研究の現況――「同時代史」の観点から 河 棕文 64-72
同時代史の現場 ドキュメンタリーがつなぐ過去・現在・未来
「NHKスペシャル 日本海軍400時間の証言」取材・製作の軌跡 小貫 武 73-83
わがドキュメンタリー同時代史――映画は出会いから始まる 西山 正啓 83-92

書評
大門正克著『戦争と戦後を生きる』(「全集 日本の歴史」第15巻) 長 志珠絵 93-97
横浜国際関係史研究会・横浜開港資料館編『GHQ情報課長ドン・ブラウンとその時代――昭和の日本とアメリカ』 小倉 裕児 98-102
吉次公介著『池田政権期の日本外交と冷戦――戦後日本外交の座標軸1960-1964』 池田 慎太郎 103-107
伊藤正直著『戦後日本の対外金融――360円レートの成立と終焉』 高橋 亘 108-112
森武麿著『1950年代と地域社会――神奈川県小田原地域を中心として』 荒川 章二 113-117

文献紹介
中北浩爾著『日本労働政治の国際関係史1945-1964――社会民主主義という選択肢』 三宅 明正 118
福永文夫著『大平正芳――「戦後保守」とは何か』 下村 太一 119
西川祐子・杉本星子編著『共同研究 戦後の生活記録にまなぶ――鶴見和子文庫との対話・未来への通信』 辻 智子 120
永原陽子編著『「植民地責任」論――脱植民地化の比較史』 庵逧 由香 121
成田龍一著『戦後思想家としての司馬遼太郎』 和田 悠 122
屋嘉比収著『沖縄戦、米軍占領史を学びなおす――記憶をいかに継承するか』 坂本 昇 123
宋連玉著『脱帝国のフェミニズムを求めて――朝鮮女性と植民地主義』 及川 英二郎 124
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