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沖縄密約文書「ない理由示せ」報道について思う [2009年公文書管理法問題]

6月17日の朝日新聞の記事。引用します。

沖縄密約文書「ない理由示せ」 地裁裁判長、国に要請

2009年6月17日5時1分

 72年の沖縄返還に伴って日米間で交わされたとされる「密約文書」をめぐる情報公開訴訟で、東京地裁の杉原則彦裁判長は16日、「文書を保有していない」と主張する国側に「その理由を合理的に説明する必要がある」と指摘し、次回までに示すよう求めた。訴えられた国側に積極的な説明責任を求めたもので、異例の訴訟指揮といえる。

 密約をめぐっては、その存在を裏付ける外交文書が米側で公開されているにもかかわらず日本政府は一貫して「密約はない」と否定し続けている。訴訟をきっかけに、国側の姿勢が改めて問われることになりそうだ。

 訴えているのは、作家の澤地久枝さんや立正大講師の桂敬一さんら25人。昨年9月に情報公開法に基づいて、密約を記した日本側文書の公開を求めたが、国は「保存場所を探索したが、文書を作成、取得した事実は確認できず、廃棄・移管の記録もなかった」などとしたため、今年3月に提訴した。

 この日あった第1回口頭弁論の冒頭で、杉原裁判長は「率直な感じを述べさせていただく」と切り出し、米側に密約文書があるのだから日本側にも同様の文書があるはずとする原告側の主張は「十分理解できる点がある」と発言。原告側が、仮に密約文書そのものを国が保有していないとしても関連文書はあるはずと主張していることについても、「理解できる」とした。

 そのうえで、もし密約そのものが存在しないというのであれば、アメリカの公文書をどう理解すべきなのかについて「被告側が説明することを希望する」と述べた。

 さらに、当時の交渉責任者で、密約があったことをメディアに明らかにしている吉野文六・元外務省アメリカ局長を証人に招くよう原告側に促した。吉野氏は06年、朝日新聞のインタビューに「当時は、とにかく協定を批准させればそれでいい。あとは野となれ……という気持ちだった。そのために『記憶にない』『そういう事実はない』と言ってきた」と証言した。

 原告の澤地さんは閉廷後の会見で、37年前に密約を暴いた西山太吉・元毎日新聞記者が国家公務員法違反で有罪とされた件に触れ、「存在しない文書をめぐって西山さんは裁かれたというのか」と話した。(谷津憲郎)

(引用終)

珍しく、裁判所が行政訴訟において、原告側に立っている。

さて、ここで裁判長が言っていることは、非常に真っ当な話である。

沖縄密約文書を外務省がないと言っていることについては、次の三つの理由ぐらいしか考えられない。
1.アメリカが嘘をついている(米側の文書が偽造されている)。
2.外務省が廃棄した(ないしは作っていない)。
3.当時の担当者の「私文書」扱いとして、「行政文書」と認識されていない。


今回の裁判長が話しているのは、1か2かはっきりせよということである。

まず1の可能性についてであるが、これははっきりいってあり得ないだろう。
もしこれで日本側の資料が出てきて文書が偽造だとばれたときには、アメリカという国自体の国際的な信用を一気に失いかねない。そんなリスクを負ってまでするような事例でもない以上、それはありえないと考えて良い。

次に2についてである。これは十分に可能性があり得る。
ただ、情報公開法施行以前に捨てていた場合、廃棄記録を残さなくて良いので、おそらく「捨てたこと」を立証するのは不可能だと思われる。外務省にとってはかなり苦しい条件を突きつけられたと思う。

問題は3の場合である。例えば「事務次官の個人文書」と称して歴代の次官に渡されていた場合、現在の情報公開法の抜け道から「行政文書」として扱われないことになる。
ただ、今回の裁判長の聞き方から考えて、もし3の場合は外務省は出さざるを得なくなるだろう(もしくは敗北を認めるか)。

さて、そもそも論であるが、こういった密約文書はそもそも作られるべきなのだろうか。
私は、秘密裏に首相同士が密約を結ぶと言うことは、外交上アリだと思っている。
外交は必ずしも国民世論に従っていれば良いというものではない。繊細な問題は首脳同士でこっそり決めるというのはありだとおもう。

ただ、重要なのは、必ず文書はきちんと作成し、いずれ30年ないし50年後といった歴史事実として扱われる時代になったときに公開をし、歴史の審判を仰がなければならないということだ。
よく政治家は不人気の政策を行うときに「いずれ歴史が判断する」と言うが、それを証明するためには、自分が決定したことを残さなければダメである。

今回の密約事件については、「非公開」ならまだわかる。だが外務省の主張は「不存在」である。
もし本当に「不存在」だったならば、これは「国益に反する」行為であることを厳しく問われなければならない。

他国との交渉結果をきちんと残さないということは、逆に相手が勝手に条件を付け加えた条約書類を偽造しても、文句は言えないということである。
例えれば、契約書を相手だけ持っていて、自分の側は持ってないという場合に、契約内容に反しているから損害賠償せよと訴訟でも起こされたら、証拠が全くないので、多額の賠償金を払わざるを得なくなるというようなことなのだ。

今回の公文書管理法は、そのようなことを無くそうという法律である。
例えすぐに公開するのがはばかられる文書でも、きちんと作成し、いつの日か公開して審判を仰がなければならない。それは外交文書だったら、なおさら必要なことである。
特に今回の法律で3の逃げ道を無くしたのも大きいと思われる。

外務省はこの裁判長の発言に対してどのような返答をするのか。注目したい。
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