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特定秘密以外の秘密文書の統一基準問題 (3)私のパブコメ [2014年公文書管理問題]

2014年12月17日、政府は「行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案についての意見の募集について」のパブリックコメントを開始しました。
締切は翌年1月6日です。

今回のガイドライン改定の主な狙いは、特定秘密「以外」の各行政機関に存在する秘密文書の統一基準の作成となります。

なお繰り返しになりますが、この問題に注目するのは、特定秘密保護法の濫用を防ぐためでもあります。
濫用を防ぐには、そもそもとして政府全体が所有している秘密文書を最小限に留めることや、いずれはきちんと公開されて検証できような仕組みの導入が必要なのです。

秘密文書全体の管理方法を厳密化することで、特定秘密指定自体も最小限に食い止めることが可能となります。
特定秘密だけを見ていては、木を見て森を見ずとなってしまいます。

第1回で、現在の「特定秘密以外の秘密文書」の管理について述べました。
第2回は、その改正案の解説をしました。
今回は最後に私が書いたパブリックコメントを挙げておきます。

具体的にはすでに前回のブログで解説をしていますので、細かくは説明しません。
読みやすさを考慮してレイアウトを変更してあります。

文中の「改正案」はこれです。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000121224


「行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案についてのパブリックコメント
2014年12月25日
瀬畑 源

・ガイドラインの「第6 行政文書ファイル管理簿」の改訂を行い、秘密文書(特定秘密も含む)の存在の有無、秘密の指定期限などを記載する欄を設けるべきである。

 改正案7頁の「第10 2(5)」において、「秘密文書は、秘密文書を管理するための簿冊において管理するもの」とされ、秘密文書管理簿を別に作成して、秘密指定はそこで管理をするとされている。しかし、行政文書ファイル管理簿との事実上の二重帳簿になっており、前者を見てもその文書に秘密文書が含まれていたかどうかはわからない。なお、特定秘密も同様の仕組みになっている。
 よって、「秘密文書(特定秘密も含む)の存在の有無」などの欄を行政文書ファイル管理簿に設け、秘密指定解除後に検証を行いやすくするべきである。なお、秘密指定中ならば、この欄を情報公開法に基づいて非開示にすることが可能であり、欄があること自体に問題はない。また、保存期間の満了の際の移管・廃棄の判断を行う際に、誤って「歴史公文書等」にあたるものの誤廃棄を防ぐためにも重要である。


・ガイドラインの「第8 点検・監査及び管理状況の報告等」のそれぞれの項に、秘密文書の点検・監査・報告を重点的に行うことを明記するべきである。

 秘密文書の適切な管理は、国民に対する責務というだけではなく、内部統制のためにも必要なはずである。よって、管理を徹底化するための点検や監査などの仕組みを、より厳密にすることをガイドラインに明記するべきである。

〔注:上記の2つは、今回の改正案に入っていなかった箇所に「追加すべき」ものとして挙げました。〕


・「第10 2(1)」解説部分(8頁)にある、「原則として、極秘文書及び秘文書の2つに区分し指定する」のうち、「原則として」は削除するべきである。

 今回のガイドライン改正は、これまで各行政機関に任されてきた秘密指定を統一化するために行われるものである。そこに「例外」を作ることは、現在の各行政機関独自の秘密指定制度を残すことに繋がるため、今回の改正自体を無意味にする可能性が高い。よって、「極秘」「秘」の2つの分類に、全ての秘密文書を合わせるべきである。
 ただ、どうしても「原則として」を残さざるをえないとするのであれば、例外にあたる秘密文書は「極秘文書と同様の文書管理を行うこと」(秘密指定期間など)をガイドラインに明記するべきである。また、例外規定を作成する場合は、公文書管理委員会の同意が必要であることを明記し、規定の公開を義務づけるべきである。
 秘密指定制度自体への国民の不信感の大きさは、特定秘密保護法への反対運動の大きさからもうかがえる。そのために、透明性のある仕組みの構築をするべきである。


・「第10 2(1)」の「極秘」「秘」文書の定義が曖昧であるため、特定秘密保護法における「別表」(特定秘密に指定できる情報の限定)と同様の規定を、各行政機関で作成される規定の中に、この作成義務を盛り込むべきである。

 特定秘密保護法において、「別表」が存在していても、指定範囲が広がることへの懸念が表明されていた。今回の「極秘」「秘」については、その「別表」にあたるものすらも、作成義務を各行政機関は負っていない。このため、無制限に指定範囲が広がる危険性がある。
 秘密指定を最小限に抑えることは、秘密文書を各行政機関がきちんと管理するためにも必要な措置である。よって、各行政機関に対して、秘密指定の可能な情報類型を規定に組み込なければならないという義務を、ガイドラインに入れるべきである。


・「第10 2(2)」の「秘文書」も、秘密指定の期間を「5年を超えない」と限定する。また、秘密指定の期限が満了した際に延長手続きが取られなかった場合、秘密を「自動解除」するようにするべきである。

 「極秘文書」は特定秘密に準じた期間設定をしているが、「秘文書」については全く限定がなく、無制限に指定が可能となっている。これも同様に「5年を超えない」といったような期間の限定を行い、満了時に指定の見直しを行うことを可能にするべきである。また、「秘文書」の場合、件数が多い可能性も高く、見直しが繁雑になることも想定されるので、延長手続きが取られなかった秘密指定は、自動的に解除される規定をガイドラインに入れるべきである。


・「第10 2(7)」の「管理状況」への大臣への報告義務についての解説部分(9頁)にある「秘密文書の管理状況については、第8-3-(1)の管理状況の報告事項とすることを予定している」の「ことを予定している」を削除すること。

 秘密文書の管理も、公文書管理法に基づいて行われる以上、管理状況の報告は管理法上の義務である。報告内容は、「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」の34-35頁に準じるものとするよう、報告の項目をガイドラインに列挙するべきである。


・改正案13頁「平成29年度末を目途に必要な措置を完了するよう努めるもの」とあるが、これを平成27年度末にするべきである。

 すでに公文書管理法が施行されて4年近くが経過しており、秘密文書の管理が徹底されるまでに3年かかるというのは、明らかに過剰な期間設定と考える。少なくとも1年以内には完了すべきである。


・改正案19頁「モデル要領」の「第13 秘密文書の管理の適正に関する通報」に関連する規定は、ガイドラインに新たな項目を立て、特定秘密における内部通報制度と同等の仕組みを構築するべきである。

 モデル要領のこの部分は、他に一切の説明が無い。公益通報者保護法に則って置かれているのならば、保護法自体が犯罪行為(刑罰規定に違反する行為)にあたるものしか保護していないため、ここで規定されている「秘密文書の管理が本要領に従って行われていないと思料した者は、○○(例:法令遵守対応窓口等)に通報できる」に適用されるのか疑問である。
 また、秘密指定の不正を通報した場合、具体的に対応する仕組みが全く述べられていない。よって、この規定は形式的に置かれているにすぎず、機能させることを意識しているとは思えない。
 秘密指定制度の適正な運用を担保するためには、公益通報制度は重要な役割を担っている。よって、最低限、特定秘密保護法における内部通報制度に準ずる統一的な仕組みをきちんと構築するべきである。

以上

連載はこれで終わりです。なにか御質問などがあればtwitterなどでご連絡下さい。
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特定秘密以外の秘密文書の統一基準問題 (2)ガイドライン改正案 [2014年公文書管理問題]

2014年12月17日、政府は「行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案についての意見の募集について」のパブリックコメントを開始した。
締切は翌年1月6日である。

今回のガイドライン改定の主な狙いは、特定秘密「以外」の各行政機関に存在する秘密文書の統一基準の作成である。

前回の記事で、現在の「特定秘密以外の秘密文書」の管理について述べた。

今回は解説の第2回。

なお、この問題に注目するのは、特定秘密保護法の濫用を防ぐためでもある。
濫用を防ぐには、そもそもとして政府全体が所有している秘密文書を最小限に留めることや、いずれはきちんと公開されて検証できような仕組みの導入が必要である。

秘密文書全体の管理方法を厳密化することで、特定秘密指定自体も最小限に食い止めることが可能になるのだ。
特定秘密だけを見ていては、木を見て森を見ずとなってしまうので注意が必要である。

今回の記事は相変わらず長いですが、気長におつきあい下さい。
しかも技術的な話なのでわかりづらいかもしれません。かみ砕いて説明しているつもりではありますが・・・。

(2)ガイドライン改正案

「特定秘密以外の秘密文書」(以後「秘密文書」)の統一基準を決めるために、「行政文書の管理に関するガイドライン」の改正案が政府から提示されている。
このガイドラインは公文書管理法に基づくものであり、行政文書の管理はすべてこれに基づいて行われることを原則としている。
なので、ガイドラインに基準が書き込まれれば、必然的に各行政機関はこれに従う義務が発生することになる。

改正案は新旧対照表が見やすいので、こちらの方が分かりやすいかもしれない。

今回の改正案は、ガイドラインに「第10」を新設して、秘密文書に関する規定を付け足す形になっている。
1項目ずつ見ていきたい。

第10 公表しないこととされている情報が記録された行政文書の管理

特定秘密である情報を記録する行政文書の管理
 特定秘密(特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号)第3条第1項に規定する特定秘密をいう。以下同じ。)である情報を記録する行政文書については、この訓令に定めるもののほか、同法、特定秘密の保護に関する法律施行令(平成26年政令第336号)、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(平成26年10月14日閣議決定)及び同令第12条第1項の規定に基づき定められた○○省特定秘密保護規程に基づき管理するものとする。


まず、1では「特定秘密」に関する規定も、ついでとばかりに放り込まれている。
要するに、特定秘密保護法やその運用基準で細かいことは決めたからそちらを見ろということである。

(5)でも書くが、事実上の「二重帳簿」になっていることが大きな問題である。
これについては、すでに以前にブログに書いたことがある。

特定秘密保護法関連のパブコメについて(4)特定秘密指定管理簿
http://h-sebata.blog.so-net.ne.jp/2014-08-07

「特定秘密」も公文書管理法の適用を受けるので、すべての行政文書が登載される「行政文書ファイル管理簿」に情報が記載される。
ただし、今の行政文書ファイル管理簿の仕組みでは、特定秘密であるかどうかはわからない。

以前から私は、行政文書ファイル管理簿に「特定秘密であるか否か(過去も含む)」の欄を作ること、特定秘密の期間はファイル名自体を非公開にしてもかまわないこと(情報公開法上可能)、特定秘密の指定が解除された際には過去に特定秘密であったことが外部から分かるようにすること(検証のため)、を主張している。

ただ、最近公文書管理委員会の議事録を見て気づいたのだが、どうやら内閣情報調査室は「特定秘密」が含まれる文書を「ファイル名を曖昧にして行政文書ファイル管理簿に載せる」ように指導しているようなのだ(公文書管理委員会第38回議事録、2014年8月1日、8頁)。
これは、「特定秘密隠し」を指導しているとしか思えない。

つまり「ファイル名を公開している」と見せかけて、名称を曖昧にすることで内容をわからなくさせ(特定秘密が解除された後も)、廃棄のチェックをすり抜けることも容易にさせようとしている(チェックする側がファイル名から重要度が分からない)。
せめて、過去に特定秘密であったことがわかるような記載欄があれば良いが、それが存在しない以上、簡単に他の文書に紛れ込ませて特定秘密を廃棄することが可能になってしまう。

つくづく思うのだが、特定秘密保護法にしろ、今回の秘密文書統一規定にしろ、現行の「行政文書ファイル管理簿」を蔑ろにし、二重帳簿で管理して最終的な廃棄をやりやすくさせようとする制度設計をしているようにしか見えない。
秘密制度の導入を正当化するなら、きちんと残して公開する仕組みを担保しなければならないのだが、そこに対する意識の低さには唖然とするところがある。

次からが今回の本題。

2 特定秘密以外の公表しないこととされている情報が記録された行政文書のうち秘密保全を要する行政文書(特定秘密である情報を記録する行政文書を除く。以下「秘密文書」という。)の管理

(1) 秘密文書は、次の種類に区分し、指定する。
 極秘文書 秘密保全の必要が高く、その漏えいが国の安全、利益に損害を与えるおそれ
       のある情報を含む行政文書
 秘文書  極秘文書に次ぐ程度の秘密であって、関係者以外には知らせてならない情報を
       含む極秘文書以外の行政文書


秘密文書は「極秘」と「秘」の2つで統一する。これまでの「機密」が無くなった。

ただ、この解説にあたる部分で、「原則として、極秘文書及び秘文書の2つに区分し・・・」(改正案8頁)と記載されており、「原則として」という不穏な言葉が入っている。

この言葉が存在すると、これまで各行政機関が勝手に作ってきた秘密文書カテゴリーを容認する余地を残すことに繋がってしまう。
今回は基準の統一化が目的である以上、この2つのカテゴリーに全てを当てはめさせるべきである。
なので、「原則として」は外させる必要があるだろう。

また、ここに書かれている「極秘」と「秘」の違いはかなり曖昧である。
各行政機関によって事情が異なるので、統一基準での限定は難しいだろう。
ただ、ほおっておくと曖昧に拡大するので、各行政機関ごとに「特定秘密」の別表のような、具体的な情報類型の設定を行うことの義務化は求めてよいと思われる。


(2) 秘密文書の指定は、極秘文書については各部局長が、秘文書については各課長が期間(極秘文書については5年を超えない範囲内の期間とする。(3)において同じ。)を定めてそれぞれ行うものとし(以下これらの指定をする者を「指定者」という。)、その指定は必要最小限にとどめるものとする。
(3) 指定者は、秘密文書の指定期間(この規定により延長した指定期間を含む。)が満了する時において、満了後も引き続き秘密文書として管理を要すると認めるときは、期間を定めてその指定期間を延長するものとする。また、指定期間は、通じて当該行政文書の保存期間を超えることができないものとする。


「極秘文書」は「特定秘密」と同様に5年以内の期限を切って(2)、満了時に延長するかを見直す(3)ことになる。
また、文書自体の保存年限を超えて秘密指定を行うことができなくなっている。

これは、「特定秘密」とのバランスを考えたということになるだろう。

ただ、なぜ「秘文書」には期限が何も書かれていないのかが理解に苦しむ。
極秘よりも短くても大丈夫なはずなのだから、例えば5年以内で原則延長不可みたいな制度にするべきではないのか。

なお、情報公開クリアリングハウスの調査によれば、各行政機関においては、秘密文書の「指定期間」の設定を義務づけているケースがほとんどのようである(4頁)。
なので、こういった年限制度自体は受容される可能性が高いように思われる。

ただ、期限満了後に自動的に指定解除になる仕組みは半分程度しか導入されていなかったとのこと。
つまり、期限満了した後も、秘密が指定されたまま放置されているケースが認められてしまっている。

なので、「延長手続き」が採られなかった文書については、「自動秘密解除」の仕組みが必要不可欠だと思われる。


(4) 指定者は、秘密文書の管理について責任を負うものを秘密文書管理責任者として指名するものとする。

「極秘」は官房長・局長クラス、「秘」は課長クラスが指定する。
1965年の規定にも似たようなものがあるが、今回は「責任者」であることが明記されたことであろうか。

この項目は特に問題はないだろう。


(5) 秘密文書は、秘密文書を管理するための簿冊において管理するものとする。

この「簿冊」というのは、「秘密文書管理簿」のことを指す。
「特定秘密」と同様に、二重帳簿を作って秘密の指定や解除はそちらで管理をするということである。
すでに、上記の「特定秘密」の所で述べたので繰り返さないが、「行政文書ファイル管理簿」上で秘密指定も管理するべきだと思う。


(6) 秘密文書には、秘密文書と確認できる表示を付すものとする。

これも「特定秘密」と同様の仕組み。これまでも当然存在している(ハンコを押したりする)。


(7) 総括文書管理者は、秘密文書の管理状況について、毎年度、○○大臣に報告するものとする。

これは新しい仕組みであり、かつ重要な部分。
前回の記事でも紹介したが、おそらく各行政機関では、自分達がどのくらい秘密文書を持っているかを把握できていない(各部局でも把握できているか怪しい)。

管理状況を報告する義務が発生すれば、当然件数などは報告対象になる。
また、この数字は公文書管理法上の「管理状況の報告」に含まれる「予定」と解説で述べているので、「特定秘密」と同様に公表されることになるのだろう(改正案9頁)。

どこまでが報告対象になるのかがわからないが、公文書管理法上の報告になるので、おかしな点があれば公文書管理委員会が説明を求めることも可能なので、最低限の濫用の歯止めにはなるかもしれない。


(8) 他の行政機関に秘密文書を提供する場合には、あらかじめ当該秘密文書の管理について提供先の行政機関と協議した上で行うものとする。

これも「特定秘密」と同様の措置。

解説の部分を見ると、国会に対しても同様の対応を要求するとのこと。
「国会の秘密文書に係る保護措置等を踏まえ、適切な対応を行う」改正案9頁)との言い回しなので、国会に必ず提供するとは限らないというようには読める。
このあたりは、国会側の規定次第ということになるのだろうか。


(9) 総括文書管理者は、この訓令の定めを踏まえ、秘密文書の管理に関し必要な事項の細則を規定する秘密文書の管理に関する要領を定めるものとする。

このガイドラインに基づいて、秘密文書に関連する規則を各行政機関は作らなければならないということである。


なお、このための「モデル要領」(改正案10頁以降)が記載されている。
ほとんどはこれまで述べてきたことを、具体的に規則に落としたものであるが、いくつか重要なことが追加されている。

一つ目は「廃棄」の問題
モデル要領には次のように書かれている。

第10 秘密文書の廃棄
 1 秘密文書の廃棄に当たっては、歴史公文書等を廃棄することのないよう留意すること。
 2 秘密文書の廃棄は、焼却、粉砕、細断、溶解、破壊等の復元不可能な方法により確実に
   行わなければならない。


文書の保存期間が満了して、国立公文書館等に移管して永久保存するか廃棄するかを決める時に、秘密指定が解除されていない。
つまり、秘密文書のまま、移管・廃棄の判断がされるということである。
これは、必ず解除される「特定秘密」との大きな違いになる。

1の「歴史公文書等を廃棄することのないよう留意」はスローガンとしては必要ではあるが、これをどうやって担保するのかが重要。

制度設計をしている内調は、「特定秘密」や「極秘」を設定したかどうかは、原則として永久保存するかの判断基準では無いという態度を取り続けている。
つまりガイドラインの別表第2で移管と決まっている情報を移管するということである。

これは、一見すると制度を忠実に守っているように見えるが、逆に言えば、制度を守ることで特定秘密や極秘などの文書を他の文書に紛れ込ませようとしているようにも見える。
ここのズレをどうやって埋めるのかは、管理簿の問題も含めて重要だと考えている。

もう一つ「モデル要領」で気になるのは、内部通報者制度が組み込まれていることだ。

第13 秘密文書の管理の適正に関する通報
 1 秘密文書の管理が本要領に従って行われていないと思料した者は、○○(例:法令遵守対応   窓口等)に通報できる。
 2 ○○に通報又は相談をしたことを理由として、通報者又は相談者に対し不利益な取扱いを   してはならない。


「特定秘密」に合わせたのだと思うが、他の部分に一切解説も無く、唐突に「モデル要領」の中に現れるので、どう判断して良いのか困る。
制度をきちんと整備するならば、別に項目を立てて「特定秘密」の運用基準並みの解説はするべきだ。
これだけだと、行政機関の側だって戸惑うだろう。

あと気になる所は、解説の部分に、この規程は「平成29年度末を目途に必要な措置を完了するよう努めるもの」改正案10頁)とすると書かれている。
このガイドラインの改正は、2015(平成27)年4月から適用されると思われるので、3年間の猶予が各行政機関に与えられるということになる。

正直長いと思う半面、このぐらい時間をかけないと、カオスな状態になっている秘密文書のコントロールを各行政機関自体が取り戻すことが不可能だと考えられているのだろうと推測せざるをえない。
もっと早くするべきという主張はパブコメでするとは思うが、現在の秘密文書の管理状況は相当に末期的なのかもしれない。


まとめると、結局、公文書管理法の改正を行わず、現在の仕組みを変えることなく、これに秘密保護制度を接ぎ木しようとしていることに問題があるように思われる。
今後の公文書管理法の見直しと合わせて、この秘密保護制度を全体としてどうコントロールしていくかを考えていく必要があると思われる。

長くなりましたが以上です。次回は私の書いたパブコメを載せます。
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特定秘密以外の秘密文書の統一基準問題 (1)現在の制度 [2014年公文書管理問題]

2014年12月17日、政府は「行政文書の管理に関するガイドラインの一部改正案についての意見の募集について」のパブリックコメントを開始した。
締切は翌年1月6日である。

今回のガイドライン改定の主な狙いは、特定秘密「以外」の各行政機関に存在する秘密文書の統一基準の作成である。

特定秘密保護法でよく勘違いをされるのだが、「特定秘密」はあくまでも外交や防衛、テロ対策などに該当する秘密文書を指定して罰則を強化したものであり、それ以外にも秘密文書は腐るほど存在する。
特定秘密はむしろ「氷山の一角」に過ぎない。

これまで、秘密文書の取扱いは各行政機関に丸投げされてきた。そのため、指定も管理もずさんきわまりない状態が続いている。
この制度に詳しい情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんからうかがった話だと、おそらく各行政機関は秘密文書をどのくらい持っているのか自分達で把握できていないとのことだ。
なので、統一基準ができること自体には私は賛成である。

また、統一基準を作ることは、政府の側にとっても必要なことだったと思われる。
特定秘密以外の秘密文書をきちんとコントロールすることは、秘密漏洩の防止などに繋がるので、基準を作らないとさすがにまずいと考えたのだろう。

さて、この統一基準だが、当然無条件で政府案に賛同できるものでないことは確かである。
特定秘密保護法案の審議を見るだけでもわかるとおり、官僚の側はできるかぎり秘密を広げようとする傾向がある。

よって、この機会に、過剰に秘密が設定されないような仕組みを構築し、重要な文書はきちんと保存されて公開されるような仕組みをきちんと整備する必要があるだろう。

今回の連載では、まず現在の制度の解説から始め、次にガイドラインの改正案の解説、最後に自分のパブコメを公開するという流れで書いていきたい。


(1)現在の制度

特定秘密以外の秘密指定は、そもそも何を根拠にして行われているのか。
実は、今からほぼ50年近く前に出された、1965年4月15日の「秘密文書等の取扱いについて」(事務次官等会議申合せ)に基づいて行われている。

「秘密文書等の取扱いについて」(1965年4月15日事務次官等会議申合せ)
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2014/20140801/20140801haifu3-1.pdf

この規定は、1965年に自衛隊で行われていた有事想定演習(いわゆる「三矢研究」)が社会党の議員によって暴露されて大問題となった事件をきっかけに、各行政機関の事務次官等による申合せによって整備されたものである(1953年に元になった申合せがあり、それを改訂したもの)。

これによれば、

2 秘密文書は、原則として次の種類に区分すること。
 極秘 秘密保全の必要が高く、その漏えいが国の安全、利益に損害を与えるおそれのあるもの。
     ただし、「極秘」のうちその秘密保全の必要度がきわめて高度のものを「機密」とすることが
     できるものとすること。
 秘   極秘につぐ程度の秘密であって、関係者以外には知らせてならないもの。


とされ、「機密」「極秘」「秘」という分け方がされているということがわかる。他に管理の仕方などが書かれている。

なお、この文書には、「不要の秘密文書は、必ず焼却する等復元できない方法により処分すること」という規定があり、政府全体の方針として秘密文書を廃棄処分して後世に残さないことが決められている。
「防衛秘密」が粛々と廃棄されていたのは、防衛省の体質という問題だけではなく、こういった日本の行政機関全体に存在する「秘密は捨てる」という文化に影響されているということだろう。

ただ、この申合せは原文を見てもらえればわかるが、かなりザックリとしたことしか書かれていない。
その理由は、私が色々なところで書いてきたが、公文書管理が各行政機関に任されてきたからである。

つまり、ザックリとルールは作るから、あとは各機関できちんとやってねということである。
これで50年間もこの申合せは使われてきたのである。

ただ、いくらなんでも、このザックリとした基準では、秘密文書の管理はきちんと行えなかった。
特に2000年代に入って、ネットからの情報漏洩などが本格化する中で、「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準」(2005年から。最新は2014年版)や「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」(2007年作成、2009年から施行)などを作成し、上からかぶせるようにセキュリティーを強化する方針を取ってきた。

内閣府が作った現在の「秘密情報等を記録する行政文書の相互関係」の図が下記のリンクにある(「情報の管理の在り方に関する検討チーム」第2回資料1、2014年7月18日)。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/joho_kanri/dai2/siryou1.pdf
無題.jpg
(注はリンク先で)

この図の記述は

「機密性1、2、3情報」・・・「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準」
「機密」「極秘」「秘」・・・「秘密文書等の取扱いについて」
「特別管理秘密」・・・「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」
「特定秘密」・・・特定秘密保護法


で根拠が分かれている。
また、「機密性2」より内側の情報は、情報公開法上の「不開示情報」と書かれており、この内側は請求しても墨塗りされて公開されない部分だと言える。

具体的に説明は省略するが、要するに「複層化していてなんだかよくわからない」ということだけ分かってもらえれば良いと思う。
しかも、この図は最も単純な分け方であり、秘密文書の区分けは、各行政機関独自のものが他にも様々な形で存在している。

ただ、根本的な管理方法自体にメスを入れずに、上から色々なものをかぶせても限界はある。

なお、「特定秘密」制度は、管理方法にメスを入れられないから、罰則を強化することで漏洩を防ごうとする発想で作られている(だから、秘密指定の範囲の限定が甘くなっている)。
本来ならば、特定秘密保護法を作る前に、この統一基準を整備して秘密文書の管理を徹底し、その上で、必要ならば特定秘密保護法を作るというのが筋論だったはずである。

脱線したので戻す。

そこで、この相互関係をスッキリさせようというのが、今回の統一基準の作成ということになるのだろう。
ただ、すでに「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準」はそのまま運用すると官僚側は決定しており(情報管理の在り方に関する検討チーム第2回会合議事概要、2014年7月18日)、これ(機密性1,2,3情報)と特定秘密以外の秘密指定に関する部分をできる限り統一化しようということのようだ。

次回からは、では政府はどういう提案をしてきているのかについて解説してみたい。


なお、今回の記事の参考として次の二つを挙げておく。

一つは、私が書いたものだが、「日本における秘密保護法制の歴史」『歴史評論』2014年11月号で、戦後の秘密保護制度の変遷については簡単に述べておいた。興味がある方はぜひ。


もう一つは、情報公開クリアリングハウスが作成した「政府の秘密指定・保護制度に関する調査結果」(2014年11月7日)。
各行政機関における秘密指定に関係する規則を片っ端から情報公開請求して公開させた調査結果。
これを見ると、「秘密文書等の取扱いについて」にあるような「機密」「極秘」「秘」だけでなく、別のカテゴリーの秘密指定文書が様々な行政機関に存在することがよくわかる。
非常に参考になるので、是非とも御覧いただければと思う。
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公文書管理法5年見直しについての合同研究集会 [2014年公文書管理問題]

2014年12月20日、日本アーカイブズ学会などが主催した「公文書管理法5年見直しについての合同研究集会」に聴衆として参加した。
この「5年見直し」の話は重要なことなので、シンポの内容を私の視点からではあるが紹介してみたい。

「公文書管理法」は2011年4月に施行された法律である。
公文書の作成、管理を初めとして、最終的に廃棄するか永久に残すかの方法などを統一的に定めた法律である。
この法律によって、日本ではやっと各省庁統一の文書の管理基準ができることになった(それまでは捨てるも残すも各省庁任せ)。

公文書管理法は、原子力災害対策本部の議事録未作成問題や、昨年の特定秘密保護法案の審議でなんども取り上げられた。
この法律がなければ、公文書の未作成や隠匿といったようなことも、法的には大きな問題とならなかったかもしれない。

さて、この公文書管理法は「附則」に次の文言がある。

第13条 政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況を勘案しつつ、行政文書及び法人文書の範囲その他の事項について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
2  国会及び裁判所の文書の管理の在り方については、この法律の趣旨、国会及び裁判所の地位及び権能等を踏まえ、検討が行われるものとする。


施行後5年を目途として、法律のあり方を見直すということがうたわれている。
すでに、内閣府は予算を今年度から獲得して、内々では見直しの準備は行っているようである。

施行後5年は2016年3月末である以上、見直しの作業は来年度に行われることは間違いないだろう。
情報公開法の時にも同じような附則があり、有識者会議が開かれて報告書が作成された。ただし法改正には至らず、コピー代が下がるなどといった微修正のみで終わった。

そこで、日本アーカイブズ学会などの文書管理に詳しい各団体が、現在の公文書管理法をどうやってより良いものに変えていくのかを公開シンポで論議することになったのが今回の催しである。

内容を紹介してみたい。
もちろん私が聞き取ったまとめなので、御本人の意図とは異なる可能性があるので注意してください。


冒頭で講演を行ったのは高山正也・国立公文書館フェロー(前国立公文書館長)
内容は、

・立法府と司法府での公文書管理の問題は、司法府は最高裁長官と協議してそれなりに進んだが、立法府が全く進んでいない。衆議院と参議院のどちらが窓口になるのか、公文書管理に興味があると思われる国会図書館との関係をどうするのかなど、立法府側の体制がはっきりしない。国会議員の中から気運が高まれば良いが・・・

・公文書管理法制定時に、附帯決議が衆議院で15参議院で21も付いた。これだけ付いたということは、制定当時からまだまだ不完全なものだと考えられていた証拠。ただ、全てを現在直せるかというのは残念ながら厳しい(それをできる体制がない)。優先順位はどこなのか、基盤部分を直すとしたらどこなのかを考えていく必要がある。

公文書管理法が議論の前提・常識となるような社会(行政機関の職員だけでなく主権者の側も)を作っていくためにも、研修制度の充実化が課題。そこに金も人もかけていく仕組みをもっと整備しないといけない。

・アーキビスト関係の資格制度が乱立している状況があり、資格の基盤となる理論体系の不在が問題。つぶし合いではなく、共通した基盤を作っていくための話し合いは必要ではないか。

他にも様々な論点を挙げておられた。

次に、パネルディスカッションでの4名の発言を紹介してみる。

早川和宏・桐蔭横浜大学大学院教授(行政法)
・公文書管理法は「基本法」。「特別法」が別にできてしまうと骨抜きになってしまう(ちなみに特定秘密保護法は「特別法」ではない)。特別法がしっかりしていればいいのだが、そうでないと抜け道がいくらでもできてしまうのは注意したい。

独立行政法人に「国立公文書館等」(文書を移管できるアーカイブズ)がほとんど存在しないことをどうにかしなければならない。

「特定歴史公文書等」(国立公文書館等に移管された公文書)への利用請求権を明示化するべき(現在は機関側が利用させる義務を負っているのみ)。

・専門職員の配置や外部監査制度など、公文書管理がきちんと行われているかをチェックする制度を充実させる必要がある。


西川康男・ARMA International 東京支部会長
・「特定秘密」の国立公文書館への移管の義務化や、隠蔽するための廃棄への罰則などが必要。

・国立公文書館を米国の国立公文書館のような権限を持つ機関に拡充するべき。専門職の配置や施設の充実化も必要。

電子公文書の利用を原則とし、その保存や管理に関する施策をもっと充実させる必要。

・地方公共団体に公文書管理条例を広げていくために、自治法や行政法などとの関係を明確にしていく啓蒙活動が必要(報告書を作成中とのこと)。


小高哲茂・群馬県立文書館公文書係指導主事
・公文書管理法ができて、公文書管理条例や地方公文書館の設立が進んできたが、まだまだ不十分。公文書管理法を地方に適用することも、自治体それぞれの事情が多様であり難しい。また予算減や職員数減もあって体力が落ちている。

・国立大学法人に「国立公文書館等」を置く際に要求される施設などのハードルが高すぎることが問題。

・「国」として現場の声を拾って様々な検証を行ってほしい。実態の把握をすすめ、それに合わせた施策が必要。

・管理法の中に、定期的な公文書管理政策の作成を必要とする文言を入れ、見直しが常に行われ続けるようにする仕組みが必要。

・専門職員を「当分の間」置かなくてよいとされた「公文書館法」の改正も視野に入れながら、地方や国立大学法人などの公文書も残るような、全国的な公文書管理政策振興による底上げが不可欠。

・特定秘密保護法と公文書管理法の整合性も、十分検討されるべき。

・アーカイブズ関連団体の連携を軸とした、国への強力な陳情を行える状況の構築。


古賀崇・天理大学准教授(記録管理学)→レジュメを御本人がアップロードしています
・「情報法」の枠組みの中で、「情報の自由な流通原則」などの視点から、「特定歴史公文書等」の公開の際に考慮される「時の経過」を考える必要。

・国立大学法人におけるアーカイブズを作るための基準の見直し(現在は基準が厳しすぎる)。

公文書管理法を情報公開法や個人情報保護法などとセットで捉えた上で、どのように改正するかを考える必要があるのではないか。

「デジタルアーカイブズ」が政府によって推進されているが、これとの関係をどうやって整理するか。その推進の担い手である国立国会図書館との関係をどうやって整理するのか。


以上がパネリストの意見。

まず共通しているのは、独立行政法人(特に国立大学法人)における「国立公文書館等」の設置問題。

公文書管理法においては、独法の公文書(法人文書)は国立公文書館に移管することができるが、国立公文書館はスペースの問題などもあり、事実上これを拒否している。
そのため、独法の保存期限が満了した公文書のほとんどは廃棄処分されている。

本来は、各独法が「国立公文書館等」にあたる施設(アーカイブズ)を作って、そこで文書をきちんと管理して公開する仕組みができればいいのだが、国が定めたガイドラインにおける「国立公文書館等」の設置の要件が厳しい。
国の中央館たる国立公文書館と同等の施設を事実上要求しているため、当然資金や人員に余裕の無い独法は二の足を踏むことになった。
アーカイブズを持っている独法ですら「国立公文書館等」に「ならない」という選択をしたところも多かった。
ただ、「ならない」場合は、公文書の移管を受けることができないので、結局は捨てる以外の選択肢が無くなってしまう。

では具体的にどうするのかは特に提案は上がっていなかったが、私見を述べると

国の「国立公文書館等」と独法の「国立公文書館等」でガイドラインを分ける。
・分けた上で、独法の側は施設や一部の機能は「当分の間」は置かなくてよい、ということとし、全史料協が主張しているような「公文書館機能」をきちんと整備することで、国立公文書館等に代わるものと認定する。


ではどうだろうか。
後者は書き方を工夫しないと「機能」だけを整備すれば良いという話になりかねない。
ただ、管理法施行から4年近く経過して、独法での公文書館設置がほとんど進まなかったことを考えれば、「施設」などの過度な要求が設置を妨げたと言っても過言ではないだろう。
これらは一定程度緩和するしかないのではないか。

次に、現在の公文書管理には関心がなさそうな政権に対して、どうやってアピールしていけば良いのかということも議論に上がった。
古賀氏からは、NPO法人で子育て支援を行っている駒崎弘樹氏の論説の紹介があった。

「草の根ロビイング(1)~現場から政治を変える~」(読売新聞、2014年12月18日)
http://www.yomiuri.co.jp/job/entrepreneurship/komazaki/20141215-OYT8T50130.html

政治家や官僚、メディアにどこまでアピールしていくかは当然課題となるだろう。
そのためには、駒崎氏も書いているが、具体的な提案を現場から伝えるという姿勢が必要である。
つまり、「説得材料」を揃えるということである。

これはパネリストも私も共通している見解だったが、まずは現場から声を集めるということは大切だと思う。
できるなら内閣府が、各省庁などの職員に対して、公文書管理実務に関連するアンケート調査などをしてくれると大変ありがたいと思っている。

具体的に何が問題となっていて、どのような改定をすれば良いのか。
理念で訴えるのも必要だとは思うが、現場からの声を活かすということが、この公文書管理制度においては重要である。

よって、アーキビストの業界からも積極的に声を上げていってほしいと思う(特に国立公文書館等の職員のみなさま)。
声を公式に上げにくかったら、声の大きい人たちに伝えるのでも良いのだ。

他にシンポジウムの会場からいくつか意見があった中で、気になったことを1つだけ挙げておきたい。

それは「特定歴史公文書等」の「廃棄」を認めてほしいという意見である。
つまり、公文書館側で「二次選別」を行わせてほしいということである。

今の公文書管理法の仕組みだと、原課が「移管したい」と主張した場合、それを公文書館側が断ることは非常に難しい。そのため、受け入れざるを得ない仕組みになっている。
そして一度受け入れたものは、永久保存することが求められている。

ただ、専門のアーキビストの目から見ると「それは永久保存する必要は無いだろう」というものも存在する。
これを、公文書館側の権限で廃棄することを認めてほしいということである。

公文書管理法の第25条には、特定歴史公文書等の廃棄の規定が存在する(内閣総理大臣に協議し、その同意が必要)。
ただ、国会で議論された際に、隠蔽のために利用されるのではないかとの危惧があったため、廃棄できるのは「劣化が極限まで進展して判読及び修復が不可能で利用できなくなり、歴史資料として重要でなくなったと認める場合」ガイドライン37頁)に限られてしまった。
つまり、事実上「二次選別」の根拠としては使えなくなっている。

この意見は現場の方からの提言であったが、その方によれば、保存スペースが足りない上に捨てることができないため、重要な文書の受け入れを制限するという本末転倒なことになっているとのことである。

歴史研究者としては、誰がその資料を重要と思うのかわからないので、どのような資料であれ、残っているものはできれば捨ててほしくないと言いたくなるところではある。
しかし、現場からのこの意見は様々なところでうかがっているし、スペースを増やせば良いではないかとも簡単に言えるものでもない(それが簡単に手に入れば苦労しない)。
むやみに歴史研究者の論理を振り回すことは難しいとも思っている。

法文は存在するので、ガイドラインを変えるかどうかという問題になる。
ここは、歴史研究者も含めて(その説得も兼ねて)、もっとつっこんだ議論をする必要があると感じている。


今回の集会の主催者であった保坂裕興・学習院大学教授は、今後もこういった集会や個別の意見交換を積み重ねて提言を出せるようにしたいとの意気込みを語られていた。
私自身もブログなどを通して、公文書管理法見直し問題への提言はどんどんと出していこうと考えている。
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特定秘密保護法施行に思う [2014年公文書管理問題]

特定秘密保護法が、本日2014年12月10日に施行されました。

改めて確認をしておきたいのは、法律は施行されたら終わりではありません。

運用していくなかで、様々な不備や問題点が現れてくるでしょう。
その時に、一つ一つ、特定秘密を減らす仕組みを作っていく提案をする必要があります。

こちらが「きちんと見てるよ!」という姿勢を見せ続けることが、運用する側へのプレッシャーになります。
それが濫用を食い止める一つのカギになります。

特定秘密であろうとも、国民への説明責任は無くなりません。
秘密の範囲を限りなく限定すること、もし秘密にしたとしても必ずいつかは(できる限り早く)公開して検証を受けること。
こういった仕組みを、修正して組み込んでいく必要があるかと思います。

私は、公文書管理法の改正が必要だと考えます。
特定秘密に指定された情報に関する文書の作成義務や、簡単に廃棄できないような仕組みの構築など、公文書管理の視点から特定秘密をコントロールすることは可能だと考えます。

さらに、特定秘密以外にも存在する、各行政機関内の秘密文書のコントロールも、今後どうしていくかを考えていく必要があります(内閣府で検討はしているようですが・・・)。

また、情報公開法を改正して、安保公安関係の情報が公開される幅を拡大することも、監視を強める効果があるでしょう。

他国との関係がある以上、残念ながら特定秘密保護法が廃止されることは期待薄だと思います。
だからこそ、濫用を防ぐための制約をどうやって増やしていくか、具体的な提案を伴った活動が今後の課題になるかと思います。

今後も引き続き、この問題を追いかけていきたいと思います。
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