So-net無料ブログ作成

「第三者機関」のあり方が問題(特定秘密保護法案) [特定秘密保護法案]

特定秘密保護法案、自民党と維新やみんなの党の修正協議が進んでおり、色々と観測気球のような報道がなされています。
そのうちの一つ。

「第三者的仕組み重要」 秘密保護法案で首相軟化
産経新聞 11月17日(日)7時55分配信

 安倍晋三首相は16日、特定秘密保護法案をめぐり、秘密指定の妥当性をチェックする第三者機関の設置に関し「第三者的な仕組みで適切な運用を確保する仕組みを作ることも重要な課題だ」と述べた。羽田空港で記者団に語った。第三者機関設置は日本維新の会が与党との修正協議で要求している。首相は柔軟姿勢を示すことで維新の協力を得たい考えだが、維新側は指定期間が30年を超えた特定秘密をすべて公開することも求めており、首相の発言では不十分との構えだ。

 今国会での法案成立を目指す政府・与党は、22日までに法案を衆院通過させたい考え。与党による「強行採決」のマイナスイメージを避けるため、維新やみんなの党の協力を得ようと修正協議を重ねている。

 ただ、第三者機関の設置は法案の根幹に関わる手直しになるため、政府・与党内には慎重論が根強い。首相も「重層的な仕組みで恣意(しい)的な指定がなされないようになっている」と述べ、有識者会議が統一基準を定め、指定状況を確認する仕組みが法案で担保されているとの考えを強調した。

 これとは別に政府内に何らかの監視組織を設置する可能性はあるが、首相が第三者機関設置の法案明記を言及したわけではない。

 このため、維新の松野頼久国会議員団幹事長は16日、都内で記者団に「維新案を丸のみするぐらいの修正でなければ賛成できない」と明言した。与党と維新は18日も協議を行うが、その行方は不透明だ。
(引用終)

安倍首相に近い産経が書いている記事ということを考えても、政府の本音の部分をかなり的確に読み取っているように思われる。

最近の報道で、安倍首相は繰り返し「第三者的な仕組みで適切な運用を確保する仕組みを作ることも重要な課題だ」と言っているが、問題はその「第三者的な仕組み」が何を指しているのかだ。

ある種の監視機関を作るということだが、これまでの政府答弁では、上記の産経が述べているように、「有識者会議が統一基準を定め、指定状況を確認する仕組みが法案で担保されている」(つまり第18条第2項)として、私的諮問機関による基準作りで十分だと言っており、これのことを指している可能性も否定できない。

政府は「恣意的な運用が行える仕組みを作る」ということが大前提であり、そこを脅かす修正には応じないという 方針をずっと取ってきており、この部分に手を付けるとは思えない。
また、手を付けた場合、「監視機関」をどのようにするのかという「中身」を詰めなければならないので、それをあと数日で作り上げるというのは不可能である。

今のところ、維新がこういった安倍首相の口先介入に騙されないという意思を示しているのは救いだが、「第三者機関を作りますから」という口約束だけで同意しないことを切に願う。


なお、すでに「監視機関」についての話は、以前のブログの記事で書いているのだが、少しだけ追記を。

そもそも「監視機関」である「第三者機関」というのはどういうものになるのだろう。

まず「行政機関」「立法機関」「司法機関」のどこに置くか(民間や独立行政法人はどう考えてもありえないだろう)。

「立法」の場合は衆議院か参議院の下に置くことになるだろうが、すべての国会議員の下に置かれるという機関というのは仕組みがあまり想像できない。
議長の直轄にするにしても、衆参どっちに置くのかとかも問題になりそう。

「司法」の場合は最高裁の下に置くということになろうが、そうなると「憲法裁判所」みたいな発想に近くなる。
そもそも司法は法に基づいて裁く機関であり、常時監視する機関を作るのにふさわしいのかと言われると疑問。

となると「行政」に置くしかない。
森雅子担当相も「行政機関の内部に第三者的な機関」設置を「検討する」と国会で答弁している(朝日新聞11月17日朝刊)ようなので、置くとしても「行政機関」として置くということになるだろう。

問題は「行政機関」として置く場合、その独立性をどう担保するかということになるだろう。
政府はおそらく「行政機関」として置いたとしても、内閣官房に設置するなどして、実質的に政府が思い通りに動かせる機関としようとするだろう。
もしくは、私的諮問機関みたいな曖昧なものを作って「監視機関」と言い張るか。

少なくとも「独立性」を担保するのであれば、会計検査院か人事院のような、行政機関ではあるが政府からの独立性が高い機関というのが想定されるだろう。
憲法上に設置規程のある(第90条)会計検査院と同等は難しいが、人事院のように「内閣の所轄の下に」(国家公務員法第3条第1項)として内閣の指揮命令を受けない組織であることが、現状では最も可能な選択肢ということになるだろう。

しかし、当然人事院のような組織を作っても、誰が総裁を任命するのか、人員や予算がどのくらいになり、人事の独立性がどこまで担保されるのか(各省庁出向組が監視しているようでは意味が無い)、法的にどのような権限を有し、なにができるのか、審査の恣意性の排除をどこで担保するのか。
詰めるべきことはくさるほど出てくる。

前回のブログでも書いたが、もしこういう監視機関をきちんと作るなら、法案を取り下げて、半年ぐらいかけて他国の制度などを学び、仕組みを整えてから改めて法案を出すのが筋だ。
第三者機関の設置を「検討する」と言いながら、その脇で中谷元・副幹事長が「今週が時間的な限界」などと17日朝のテレビで語っているので、どこまで本気なのか極めて怪しいものと思われる。

政府が口でごまかそうとしていることに乗っていってはいけない。
「あとから作る」みたいなごまかしで逃げさせてはいけないのだ。


追記

こうなると、そもそも公文書管理を監視するための公文書管理庁(院)の設置案をぶつけて、秘密の管理も含めて公文書管理制度全体の監視機能の強化をめざすということもありえるのかなとも思う。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 0

コメント 2

渡邊健

同感です。企業におけるコーポレートガバナンス、内部統制のチェックについても、自主監査(自部門でのセルフチェック)、内部監査(組織内独立機関による監査)、監査役監査、外部監査等、正に幾重にもチェック網を張り巡らせることは可能です。
また、秘密指定・解除の手続きは決裁権限のようなものですので、行政機関の長が「部門担当役員決裁」ならば、内閣の承認は「管理担当役員決裁」あたりだろうと思います。いずれにしても監査機能ではないので、牽制としては弱いと言わざるを得ません。
国立公文書館の強化は良いですが、内閣府の傘の下にある限りは、内部の域を出ないので、単なる諮問機関ではない委員会等との抱き合わせでそのあたりを補うかどうかということではないでしょうか。
法案の中で、国会の国政調査権を脅かすような条文が入っているのも、かかる議論に照らせば当然見直しが必要だろうと思います。
by 渡邊健 (2013-11-18 13:02) 

瀬畑 源(せばた はじめ)

>渡邊健さま

コメントありがとうございます。おっしゃること同意できることしきりです。
そもそも企業ですらも、最近の産地偽装疑惑みたいなことも監査がしっかりしていないと起きるわけで、性善説でこういうシステムを運用してはいけないと思います。

やはり慎重な審議をまだまだ必要としていると感じます。
by 瀬畑 源(せばた はじめ) (2013-11-18 19:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。