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公文書管理委員会第20回傍聴記 [2012年公文書管理問題]

公文書管理委員会の第20回の会議(2012年7月4日)の傍聴に行ってきました。
委員会が立ち上がってから翌日で2年となるので、この会議が1期目の最後の会合ということになります。

今回は前回議論したものの最終版を確定して、岡田副総理に提出するというセレモニーに近いものであった。
前回(6月20日)の傍聴に行っていないので細かい事情はよくわからないのだが、資料を見ながら簡単に分析してみたい。

今回の資料はこちら。
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2012/20120704haifu.html

前々回の第18回に歴史的緊急事態における文書作成のあり方についてのとりまとめが出され(解説)、それに基づいて「行政文書の管理に関するガイドライン」の改訂案が提示された。
これについてはパブリックコメントの募集もあり、私も書いて送ったが、結局は文面が変わらずにそのまま決定された。

残ったのは、緊急事態に対応する前提となる日常的な記録作成のあり方についての部分。
これについては第18回で「論点整理」が出されており、私もブログに解説を書いた。

しかし、結局は公文書管理法第4条の「文書の作成」のうち、第2号の「閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯」の定義に関する論点を整理するという点に絞られ、さらに別の委員会を立ち上げて議論を継続することになった。

上記の①から⑤を見ると、かなり地平が広い話だったと思うのだが、「公文書管理委員会」という公文書管理法に関わることを議論することに限定された機関では、できることに限界があった。
また、上記したように任期切れの直前でもあり、大きな議論はしにくいという事情もあっただろう。

そこで「政府の重要な意思決定にかかわる会議に関する議事概要・議事録作成の在り方<論点整理>」が今回承認されて岡田副総理に提出された。

この文書は「論点整理」とタイトルに書かれている通り、何かを決めた報告書ではない。
目的としては「公文書管理制度の観点から、閣議、閣僚会議などの政府の重要な意思決定にかかわる会議の記録作成の確保のために、「議事概要・議事録の作成・一定期間経過後公開ルール」の制度化を提案する」ことが掲げられている。
具体的には、先ほど挙げた管理法第4条第2号に関係して、「閣議」「関係行政機関の長で構成される会議」「省議」の3つについて検討が行われた。

A:閣議

閣議は、これまで議事録・概要は作られていない。
閣議後に行われている閣僚懇談会も同様。

理由としては「閣僚同士の議論は、特に重大な国家機密や高度に政治性を有する事柄をも含め、自由に忌憚なく行われる必要があること、また、内閣の連帯責任の帰結として、対外的な一体性、統一性の確保が要請されている」ので、公開することは適当で無いということで作られていない。
本来「公開しない」=「作らない」ということでは無いはずなのだが、そういう発想が当たり前のように使われている。
情報公開法の不開示規定では隠しきれないのでということらしい。たしかに、第5号の中立性が損なわれるという部分ぐらいしか適用しようがないかなという感じではあるんだが。

今回の報告書では、閣議と閣僚懇談会については議事録・議事概要を作る。そして非公開にした上で、「一定期間経過後公開」という仕組みを作ったらどうかということを提案している。

これは是非とも行うべきだと思う。
英国とドイツの例が資料として挙げられているが、もっと各国の調査をして、適切な公開までの年数も含めてきちんとルール化するべきだろう。

B:関係行政機関の長で構成される会議

2つに分けて書いてある。
一つは法律に基づいた明確な会議については、議事録・概要作成が望ましい。
もう一つは法律に基づかない会議についてだが、決定・了解をしている会議は作成が望ましいという書き方になっている。(逆にそうでないものは作らなくても良いとも読める。)
これらについても、「一定期間経過後公開」ルールを作るべきだと提言している。

「決定・了解」に拘わらず、閣僚が複数参加している以上、このカテゴリーの会議は議事録・概要を作るべきだと思うが。

C:省議

省議については、重要な決定・了解が行われる場合は議事録・概要作成が望ましい。
ただ、行政機関内の会議なので、一定期間経過後公開ルールは必要ない。
省議の定義をするために「制度的な位置付けや、各府省の意思決定過程における所掌事務・権限の明確化などが望まれる」とも提言されている。

この部分で気になるのは、「省議、さらには大臣等との打合せや意見交換などについても、率直な意見交換を損なうおそれ等のために、議事概要・議事録などの記録が作成・保存されないことも多いとの指摘もある。このため、適切な記録の作成・保存を確保していく観点からは、諸外国の実情も把握しつつ、情報公開との関係について運用面も含めた検討を行う必要があると考えられる。」という部分。

省議レベルで公開へのおそれから記録が作られないから配慮しなければというのはどうなんだと。
ここは、そういった記録を作るのがあたりまえという意識をつける努力が必要だと思う。

最後のまとめの部分で「運用上の課題」の部分で、「退職公務員など専門的な知見を有する者の活用なども検討すべき」と書かれている。
今回の会議での委員の方の発言を聞いていると、その退職公務員「など」の部分にアーキビストなどの専門職も含まれているということらしい。

会議の場で三宅委員が「天下りではなく、自分のやった記録を整理して定年まで勤めて辞めるという慣例ができればよい」というようなことを言われていたが、そういう慣例ができると良いと私も思う。

以上がこの報告書の内容と私のコメントになる。

この報告書の内容自体は納得できる部分が多く、きちんとまとめられて良かったと思う。
問題はこれを受けてちゃんと政治の側が動いてくれるかである。

ここまで政権が不安定な状況で、果たして岡田副総理はこのあとの作業に取りかかってくれるだろうか。
せめて、この案件が引き継がれる審議会だけは立ち上げておいてくれると助かるのだが・・・
もちろん政権が代わってしまうとどうなるかわからないが、それ以上に岡田副総理のようなこの問題に熱心に取り組んでくれる人が担当閣僚になる可能性の方がもっと低いので、議論できる形だけでも残しておいてほしいと思う。

最後にこの2年間、公文書管理委員会の委員の方は、制度の立ち上げという重要な時期に本当に頑張って下さったと思う。
良い形で次に引き継がれるといいなと思う次第。
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