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立法府の情報公開の現状 [2011年公文書管理問題]

この4月1日に参議院事務局に情報公開制度ができました。
2008年に衆議院事務局の方にはできていたので、3年遅れで衆参両方の制度が出そろったことになります。

衆議院事務局の情報公開制度
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_jyouhoukoukai.htm

参議院事務局の情報公開制度
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/johokoukai/index.html

基本的には同じ制度と捉えて良いと思われるので、まとめて特徴を述べておくと、

・立法府のうち、事務局が作成している文書のみが対象(両院の法制局や国会議員が事務所で作成している文書は対象にならない)。さらに、「立法及び調査にかかる文書」が公開対象から除外されている。
・公開請求してから30日以内で公開(延長規程はない)。
・請求に手数料はかからない。公開後に複写は有料でできる。
個人情報等の不開示規程が情報公開法に準じて設定。不服がある場合は院内にある「情報公開苦情審査会」に申立が可能。
目録は公開されているが、事務局の情報公開窓口でしか閲覧できない。

特に、一番初めの項目がかなり重要で、両議院が行った政策に関わるような文書は公開対象外だということになります。
一方、憲法などの規定によって、会議録の開示や国会議員の資産公開などの公表を義務づけられているので、その点は行政府とは事情が異なります。

これを踏まえた上で、昨日両院の情報公開室に行って、自分の関心のあることについて質問をしてきました。
その結果を備忘録的に書き残しておきます。(参議院が先なのは、参議院→衆議院の順番に行ったからです。)

1.文書目録をインターネット上に公開しないのか?

:今のところ予定はない。

:今のところ予定はない。特に、ネット上に上げてくれという要望もほとんど事務局には来ていない。
瀬畑:それは事務局に何があるかわからないから問い合わせようが無いだけであって、上げれば状況は変わるのでは?また東京に住んでいない人にとっては、ここまで来て目録を見に来るのは難しいのではないか?
:上司に伝える。

瀬畑コメント
両方とも目録のネット上への公開は消極的だった。
衆議院では、「そういうニーズ本当にあるの?」みたいな感じだった。

情報公開法ができる前の各行政機関も似たような状況だったのではないのかなと。
ニーズの有無以前として、国民に対する説明責任を果たすという考え方が薄いように思う。


2.公開対象文書のことを、衆議院では「議院行政文書」、参議院では「事務局文書」と書いているが、この概念に違いはあるのか?

:「文書管理規程」(公文書管理に関する規程のこと)を作る際に衆議院のものは参考にした。
しかし、衆議院が使っている「議院行政文書」の定義(「事務局の職員が行政事務の遂行上作成し、又は取得した文書・・・」)がやや明瞭さに欠くと考えたので採用しなかった。
また、衆議院では、「開示等に関する事務取扱規程」で「議院行政文書」の定義がされているが、公文書管理を定めた「文書取扱規程」の中では定義がなされていない。つまり、情報公開と公文書管理が一体的なものとして捉えられていない。
参議院としては、昨今の公文書管理法制定の流れから、情報公開と公文書管理を一体的なものと捉える必要があると考え、「文書管理規程」で「事務局文書」を定義し、「開示に関する事務取扱規程」で、この「事務局文書」を公開対象とすることにした。
ただ、衆議院の「議院行政文書」と参議院の「事務局文書」の対象とする文書は、ほぼ同じものだと思っている。

:衆議院は先に規程を作ったので、なぜ参議院が違う用語を使っているのかはわかりかねる。たぶん同じ意味だと考えてよいと思うが。
瀬畑:参議院では上記のようなことだと話していたが・・・
:確かにこちらでは、「文書取扱規程」において議院行政文書の定義はしていない。よって、文書管理と情報公開が一体的になっていないのは確か。

瀬畑コメント
参議院と衆議院との規程の違いは、作った経緯にあると思われる。
衆議院は、情報公開法施行(2001年)後すぐに「文書取扱規程」を作り(2002年3月)、事務局の不正な予算使用が問題となった(2006年)ために情報公開制度を作った(2008年2月)。
参議院は、この衆議院の情報公開の流れを受けて「文書管理規程」を作成し(2009年3月)、公開制度を作った(2011年3月)。

つまり参議院は、公文書管理法の審議が進んでいるさなかに文書管理規程を作ったため、情報公開と公文書管理を一体とした規程を作ることができたということだろう。
また、参議院の方が後から作ったので、より精度の高い規程が作られたとも言えるかもしれない。


3.保存期限が満了した文書のうち、歴史的に重要な文書をどのように保存しているのか。衆議院は憲政記念館、参議院は議会史料室で別に管理するとなっているが、具体的に移管などはされているのか?

:満了した文書のうち、歴史的に重要なものはそのまま各部局で所有している。議会史料室は日本国憲法施行前の史料を公開するために作られたという経緯もあるので、貴族院関係の文書は全部移管してあるが、参議院になってからのものは全く移管していない。
瀬畑:貴族院関係の文書についての目録は存在するのか?ウェブサイトでは「帝国議会予算書」などがあると記載されているが、それ以外にも所有しているのか?
:目録はまだ未整備であり、ウェブサイトに例として記しているもの以外の文書も保管している。「こういったものが見たい」との問い合わせがあれば、当方で探して公開することは可能である。とにかく、参議院の事務局には、貴族院時代の文書は立法・調査関係のものも含めて残っていない。

憲政記念館には一部の文書が移管されている(目録はPDFで公開)。憲政記念館に移管する手続きは2002年3月に定めたのだが、その後移管された文書は存在しない。
事務局の仕事は先例を調査する必要があり、また議員からの問い合わせに「憲政記念館に行くから1時間待ってくれ」とは言えない立場にある。だから、古い文書でも自分たちの部局で持ち続けている。

瀬畑コメント
参議院については、貴族院時代の文書は、問い合わせれば公開することはやぶさかではないという対応だったのは朗報か。
衆議院の「先例調査のために持ってる」との言い訳は、宮内庁でも同じようなことを言われたことがある。
だが、実際に先例として使う文書はそのうちの本当にごくわずかのはず。また、実際に憲政記念館に移管してしまった文書の問い合わせがあった場合は、憲政記念館に調べさせるという手はあるわけだから、それは言い訳にはならないと思う。
立法・調査関係の文書は情報公開の対象でない以上、ある程度時間が経ったもの(例えば戦前の文書)は憲政記念館に移管して公開するべきだと思う。


4.衆議院や参議院では、インターネットで審議中継をしているが、過去ログが1年分しか見ることができない。1年しか公開しないのはなぜ?また、この映像データはどのように保管しているのか?

:1年分しか見れないというのは、参議院の議院運営委員会で決められたものであり、自分たちとしてはそれに従っているだけである。よって、ネット上に上がっているものより以前のものを見せることは事務局の判断ではできない。
そもそもは、「会議録」ができるまでの「つなぎ」という意味で2週間公開だったものが、次第に1国会、1年と延びてきた経緯がある。
映像データについては、媒体の寿命などにも気を配り、永年保存するような対策を取っている。

:今年の1月か2月に、衆議院の議院運営委員会で「これからはずっと過去のものも見れるようにすべき」との合意があった。よって、以後は1年で非公開にせず、このままずっと見れるようになる。過去のものを再度アップロードするかは現在検討中である。

瀬畑コメント
先日のアーカイブズ学会の松本明日香報告「テレビ政治討論会のアーカイブズ」で、過去の映像が1年しか見れないことを知って、気になってついでに聞いてみた。

衆議院では今後はずっと過去ログが見れるようにすることのこと。
参議院はまだ検討していないようだが、衆議院でやれば追随するかなという気もする。


全体を通して思うことは、「立法府の情報公開」は結局は「議員」次第なんだなと思った。
参議院の情報公開・公文書管理制度の整備は、江田前議長や西岡議長が進めたもののようだし、ネット中継の過去ログの話も、議運で決まればサックリと変わっていく。
ここは行政機関とは大いに違うところで、議院事務局はあくまでも国会議員の補佐の立場にあるため、国会議員が決めればすべてがそのように進むのだ。

今回、色々と話を聞いてみて、やはり立法府の情報公開法と公文書管理法は必要だと思った。
結局、情報公開はあくまでも議院事務局の「好意」でしかない。つまり、公開は義務ではないのだ。
これは、国民の側に請求権を決めた法律が存在していないためである(行政機関や独法は情報公開法で、国立公文書館などに保管されている歴史的文書については公文書管理法で請求権が保証)。
目録がネットで公開されないというのも、このあたりが原因としてある。
また、立法・調査関係の文書が永久に非公開であることが許されているのも、請求側に法的な請求根拠がないからである。
さらに、歴史的文書の移管先が、衆議院事務局管轄の憲政記念館、参議院事務局管轄の議会史料室で良いのかということも問われる必要がある。

そして、この法律を定めるのは、まさしく立法府の構成員である「国会議員」である。
公文書管理法の附則第13条第2項では、国会の公文書管理法の制定の検討を行うことが入っており、附帯決議にも同様の内容が入っていた。
自分たちでそういう附帯決議をした以上、立法府での情報公開法、公文書管理法の制定をどうするか、きちんと議論してほしいと改めて思う。

立法府の情報公開や公文書管理問題については、今後も色々と調べていきたいと思う。
ちなみに、今回の調査の参考にした論文を紹介。興味がある人は読んでみたらいかが。

大蔵綾子「わが国の立法府における情報公開の新展開」、『レコード・マネジメント』第57号、2009年

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