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議事録未作成問題と「行政文書の範囲」 [2012年公文書管理問題]

原子力災害対策本部議事録未作成問題の続報。前のブログ記事も参照してください。
引用します。

東日本大震災:震災議事録、「被災者支援」も未作成 議事録・概要なし、計3会議に

 岡田克也副総理は27日午前、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に対応するため政府が設置した計15の会議などの議事録に関する調査結果を公表した。緊急災害対策本部の下部組織「被災者生活支援チーム」が議事録と議事概要をいずれも作成していなかったことが新たに判明。議事録だけでなく、議事概要の記録も残していなかったのは原子力災害対策本部と緊急災害対策本部に生活支援チームを加えた3会議となった。

 このほか、政府・東京電力統合対策室と電力需給に関する検討会合の2会議は議事録がなく、議事概要も一部しか作成していなかった。岡田氏は記者団に「計5会議で一部または全部の記録がなかった」と語った。

 残る10会議のうち、復興構想会議など4会議は議事録・議事概要の両方を作成、各府省連絡会議など5会議は議事概要のみ、復興対策本部は議事録のみを残していた。

 公文書管理法は、重要な会議の意思決定過程などを検証できる文書作成を義務づけている。

 岡田氏は同日の閣議後の閣僚懇談会で、不備があった会議を担当する各閣僚に2月中をめどに議事概要を作成するよう要請し、同法の趣旨を踏まえ指導を徹底するよう求めた。【中島和哉、中井正裕】

毎日新聞 2012年1月27日 東京夕刊
(引用終)

もっとも詳しいのは日経の方ですが、日経はすぐにウェブ上で見れなくなるので、毎日の方を引っ張っておきます。

さて、この話をする際に前提として考えておかなければならないことがある。
それは「議事録がない」=「記録が何も残っていないことを意味しない」ということだ。

ではなぜ「議事録」や「議事概要」がないのか。
それは、官僚が考えている「議事録」や「議事概要」は「行政文書」として「認定された」ものだけを指しているからである。

よって、この問題を理解するにはまず「行政文書」とはどのような定義であるのかを理解する必要がある。

「行政文書」とは、公文書管理法第2条第4項で次のように定義されている。

4  この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)を含む。第十九条を除き、以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。(以下略)

この定義によれば、「行政文書」とは

①職務上作成、取得したもの
②組織的に用いるもの
③保有しているもの


の3点を満たさない限り「行政文書」としては扱われない。
これは情報公開法でも同じ定義である(第2条第2項)。

くせ者なのは、このうち②の「組織的に用いるもの」である。
この「組織的」というのは、官僚の中では「決裁を経たもの」として認識されている可能性が極めて高い。
つまり、自分の手元で作っている決裁前に作られた文書は、全て「私的メモ」扱いされているということである。
情報公開法施行以来、この「組織的」ということを盾に取り、官僚が取ったメモ(会議などで取ったものも含む)を「私的メモ」として扱い、情報公開の請求対象外とするケースが各所で起こっていた。

そこで公文書管理法では第4条に次の条文を設定することで、この逃げ道を塞ごうとした。
公文書管理法第4条は次のような文章である。

第四条  行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
一  法令の制定又は改廃及びその経緯
二  前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯
三  複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯
四  個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
五  職員の人事に関する事項


つまり、行政文書として政策決定過程がわかる文書を作成しなければならないと定めたのである。
もちろん今回の問題が、第4条の第2号と第3号に関わることは一目瞭然である。

今回の問題は、この公文書管理法第4条が官僚に全く意識されておらず、公文書管理法施行以前の対応をそのまま続けていたということに他ならない。

当然、ここまで重大な問題である以上、担当者がメモを取っていないとは思えない。
そして、部内で回覧できるような「参考資料」として、最低限の「議事概要」は作っていたはずである。
だが、彼らにとってはそれは決裁を受けていない「参考資料」でしかなく、それは「私的メモ」だという判断なのである。

そして多忙であったため、「行政文書」として認識されるような「議事録」や「議事概要」を作成しなかった。
彼らには共有している「参考資料」があったので、「議事録」を「作る」必要がなかったのだ。
おそらくそれが今回の「議事録未作成」の真相というところではないのだろうか。

そして前回のブログに書いたように、対外的には作る必要のある「議事録」が、作成責任を担う部局が不明確ななかで、「業務に支障がない」ので作成されなかったのだろう。
ちなみに、録音をしている会議も当然あるだろうが、おそらくその録音自体も、官僚からすれば「組織的に共有していない」ものなので「行政文書」ではないという認識なんだろう。

上記の記事で、岡田克也副総理が「2月中をめどに議事概要を作成するよう要請し、同法の趣旨を踏まえ指導を徹底するよう求めた」と述べているのは、おそらく「概要」は「参考資料」としてそもそも持っているはずだろうということを想定した発言のようにも思う。
もちろん、録音があればそれを元にして復元せよということも含んでもいるだろう。

なお、当然後から作った議事録や概要は「信頼性」を問われるわけだから、その元となった「参考資料」は「行政文書」として認定し、それも含めて公開するべきだと思う。
というか、そもそも公文書管理法第4条の主旨からすれば、「参考資料」となっていると思われるものは当然行政文書として保管されるべき文書である。

今回の問題で、公文書管理法が現場できちんと運用されていないということが浮き彫りになった。

おそらくこれは氷山の一角にすぎないと思う。
他の部局でも同じようなことが続いている可能性は極めて高い。
公文書管理法の徹底化のためには良い機会でもあるので、是非とも各省庁で徹底した公文書管理法運用に尽力してほしいと思う。

あと余談ではあるが、前回も書いたように、この議事録未作成問題は昨年3月末からすでに問題になっていた。
今回これだけ事態が進んだのは、明らかに「公文書管理を担当する大臣」の熱意があったからに他ならない。

これまでの担当大臣であった蓮舫前行政刷新相は、この問題を解決しようとはしてくれなかった。情報公開法の改正も棚上げにしたし、正直残念でならない。
それに引き替え、岡田克也副総理(公文書管理の担当としては「行政刷新相」か)がいかにこの問題に真摯に取り組んでくれたか。
NHKが報じてから数日でここまでのことが明らかになったのだから、岡田副総理がこの問題を重要視して解決にあたろうとしてくれたことが非常に良くわかる。

こういう政治家が要所に何人もいればなと感じざるを得ない。

追記
「政府・東京電力統合対策室」については、東電が「民間企業」であるので、上の問題に加えてさらに「民間企業の情報を公開するか否か」という話が関わってくるので、もう一段状況は複雑になる。
この点は情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんがずっと追っているはずですので、そちらのブログを参照してください。
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原子力災害対策本部の議事録未作成問題 [2012年公文書管理問題]

2012年1月22日のNHKの報道。引用します。

政府の原災本部 議事録を作らず
1月22日 17時44分 NHK

東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って、避難区域や除染の方針など重要な決定を行ってきた政府の「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったことが分かりました。専門家は「将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。

政府の原子力災害対策本部は、総理大臣を本部長とし、経済産業大臣をはじめ全閣僚をメンバーとするもので、原発事故当日の去年3月11日に設けられ、避難区域や除染の基本方針、農作物の出荷制限など原発事故を巡る重要な決定を行ってきました。NHKで、去年11月、それまでに開かれた21回の会議について「議事録や内容をまとめた資料など」の情報公開請求を行ったところ、公開されたのは、議題を記した1回の会議について1ページの「議事次第」だけで、議論の中身を記した議事録は作成されていなかったことが分かりました。NHKの取材に対し、原子力災害対策本部の事務局を務めている原子力安全・保安院の担当者は「業務が忙しく議事録を作成できなかった」と説明しています。公文書管理法は、国民への説明義務を果たすとともに政府の意思決定の過程を検証できるようにするため重要な会議の記録を残すよう定めており、公文書の管理を担当する内閣府は、原子力安全・保安院の担当者から聞き取りを行うなど経緯を調べています。原発事故への対応を巡っては、東京電力と政府が合同で事故対応を検討した「事故対策統合本部」でも主要な会議の議事録が作成されていなかったことが分かっており、内閣府は、この経緯についても調べています。

公文書の管理や情報公開制度に詳しい名古屋大学大学院の春名幹男特任教授は「政府の重要な立場にあった人たちは、記録を残さないと責任を果たしたことにはならない。今回は、自分たちの失策がそのまま記録されると困るので、あえて記録を残さなかったと思われてもしかたない。将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120122/k10015450241000.html
(引用終)

この報道を見て、正直「NHKはなにを今さら初めて知ったかのように言っとるのだ」と思わざるをえない。

すでに、原子力災害対策本部の議事録が作られていないことは、昨年3月末に枝野幸男官房長官(当時)が記者会見で話しているし、5月11日にも認めている。
手前味噌だが、自分の書いた本の一番最後の注で、この原子力対策本部での議事録未作成が問題であることについてすでに指摘している(P.315)。
また、情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんも、情報公開請求の当事者としてずっと発言をし続けていた。例えばこれなど。

なお、毎日新聞でも12月17日に報道がなされている。
すでにネット上から期限切れで削除されているようなので引用します。

大震災と報道:原発対策関連の公文書散逸の恐れ 検証作業の支障に
2011.12.17 東京朝刊 20頁 毎日新聞

 今年3月の福島第1原発事故に伴って政府が設置した「原子力災害対策本部」と「政府・東京電力統合対策室」で、取り扱われる公文書が適切に管理されていない状態が続いている。公文書管理法(今年4月施行)に基づく「ファイル管理簿」も作成されていないなど、同法の趣旨に反する疑いも指摘されている。識者らからは「政府の事故対応の是非を検証するために必要な文書が散逸する恐れがある」と懸念が出ている。【吉永磨美、臺宏士、青島顕】

 ●「メモだから非公開」
 「政府・東電統合対策室」(対策室)は今年3月、東京・内幸町の東電本店内に設けられた。実質的な事務は経済産業省の原子力安全・保安院が担っている。細野豪志・原発事故担当相を筆頭に、東電の職員や厚生労働省、文部科学省など関係省庁の連絡担当者が集まり、毎日午後6時から、各省庁による原発事故の収束作業などに関する「全体会議」が行われている。
 先月7日にあった対策室の合同会見で、園田康博・内閣府政務官は「全体会議の議事録は取っていない」と明言。「(事故対策の)時系列のメモはあるが、内部文書なので公開しない」と続け、記者からあった関係文書の開示要求を突き放した。
 対策室の担当者間で交わされた発言や文書、情報は、政府や東電が事故収束に向けて取った措置が適切かどうかを、のちに検証する重要な手がかりになるのは間違いない。ところが、園田政務官は「各省でとりまとめており、心配ない」とした。「メモ」でも組織的に用いられていれば行政文書に当たり、情報公開法の開示対象になるが、行政文書に当たるかどうかについても「精査しないとわからない」と即答を避けた。

 ●官僚の本音は…
 一方、対策室と連携し、政府レベルで協議する場が「原子力災害対策本部」(災対本部)だ。首相を本部長に、原発における緊急事態に際して総合的見地から対処する中枢機能を持つ。原発周辺の避難区域を見直す作業もここでされている。会議は首相官邸で行われる。災対本部も初期の議事録の8回分はないという。事務局の保安院によると、菅直人前首相による原発に対する放水命令や指示の判断に至る経緯が分かる文書の請求もあったが見つからず、「不存在」とされたケースもあるという。
 通常の行政機関であれば、公文書は、部局ごとに置かれた文書管理担当者が管理規定に基づき文書内容を把握する仕組みになっている。そのための「ファイル管理簿」も存在する。ところが、両組織の情報公開請求窓口になっている内閣府の担当者は「対策室も災対本部も、管理簿はない」と取材に対して明言した。文書管理規則もないという。
 なぜこのような事態になっているのか。
 対策室や災対本部は、内閣府設置法など具体的な設置法に基づく行政機関ではない。また、対策室については、働く保安院などの職員も各省庁に在籍しながら「連絡係」として勤務しているだけで、正式な辞令が出ているわけではない。当然、文書管理の担当職員はいない。各省庁から来た職員が個別にそれぞれの形式で残しているだけだ。
 先月10日にあった民主党内閣部門会議――。経産官僚出身の後藤祐一衆院議員は、秘密保全法制をめぐる議論の中で、同席した官僚出身議員を見渡しながらこう話した。「情報公開法が施行(01年)になってすごく危なくなった。いざというときには公開請求が来る。請求をはねのけられるように、『これは個人のメモ』とメモがやたらと増えた。みなさんご経験があると思う」。情報公開を避けるための、役人時代の“手の内”を明かしたような発言といえた。内閣府の園田政務官が3日前の会見で述べた、「メモはあるが、公開はしない」と通じる感覚だった。

 ●復興対策本部は整備
 内閣府によると、災対本部は原子力災害対策特別措置法を基に設置されているが、「会議体」と呼ばれ一般的な行政機関ではないという位置づけだ。重要な情報や文書があるにもかかわらず、法に基づく文書管理が当初から行われていない。
 ところが、情報公開法に基づく開示請求が対策室や災対本部に相次ぎ、請求窓口の内閣府は、両組織で取り扱う文書についても情報公開法に準じた扱いにしている。
 対策室については、災対本部内の「原子力被災者生活支援チーム」の職員が文書を探す事務を担当。災対本部や実質的な庶務業務を行う保安院にないかどうかを確認したり、各省庁の職員と連絡を取り合いながら作業を進めている。それらの資料は東電側から提供を受けたものと混在している状態で、「行政文書」かどうかについて、一つずつ精査しているという。
 災対本部についても同チームの職員が文書管理担当を兼務している。請求ごとに文書作成にかかわった職員を探し出し、一つずつ問い合わせて該当する文書をかき集めているという。ただ、両組織ともに文書については現段階でも担当者による個別管理で、組織だった管理には至っていない。文書管理規則を定めファイル管理簿を作成する具体的な予定はいまのところないという。
 同じ大震災に関連しては、今年6月に設置された「東日本大震災復興対策本部」がある。復興施策について省庁や被災自治体との調整などを行っているが、文書管理の規則やファイル管理簿も存在している。発足当初から東日本大震災復興基本法に基づく正式な行政機関と位置づけたからで、担当者は「公文書管理法や情報公開法などに準じて法的に必要なものは整備した」と話した。
(以下略)

この毎日新聞の記事が、もっとも本質を理解していると思う。

NHKの報道によって、文書が作られていないのは「隠蔽だ」という問題になっているようだが、おそらく官僚の立場からすると「管理規則がないんだから管理しなくていいんじゃないか」レベルの話でしかない。
つまり、行政機関としての明確な位置づけがないので、文書管理をきちんとするための制度的な「制約」がないので誰もやらないということなのだ。
だから、「私的なメモ」ということで公文書扱いしないというようなこともまかり通っている。ただ、こういった「私的なメモ」扱いで重要な記録を行政文書から外すことは、何もここに限ったことではないが・・・

記事に引用されている「東日本大震災復興対策本部」については、行政機関としての法的根拠が明確であるため、公文書管理法に基づく文書管理規則がきちんと作られている。
よって、公文書管理委員会でも審議が行われている。

つまり、官僚達にとっては、「原子力災害対策本部などが行政機関として法的に位置づけられれれば文書管理をきちんとやりますけど」という論理になっているのだ。復興対策本部のように。

これは官僚の行動形式としては「ありうるな」と思わざるをえない。
彼らにしてみれば「規則に従って動いている。規則がないことはやらんで構わない」ということなのだから。
よって、こういう状況をずっと放置してきた「政治家」の側の問題が極めて大きいということになる。

特に、時折記者会見で追及されたりしていたわけだから、枝野前官房長官の責任は大きい。(また、これを追及し続けなかったマスメディアもどうかと思うが。もちろん自分も同じ反省をせねばならないが。)
結局、日々の対策に追われ、後から検証する資料をどう残すかというところに目がいかなかったのだろう。
でも、公文書管理法制定にあれだけ尽力してくれた枝野氏には気づいてほしかったし、何とかしてほしかった。
(枝野氏は1月24日の報道で謝罪した上で「対策本部の議事録作成」を保安院に命じたようだが・・・。ただ後から作る議事録がどこまで当時の記録を再現できているかは未知数だろう。都合の悪いことは隠す可能性もあるだろうし。)

今回の事例は、公文書管理法の実効性についてあらためて考えさせられる。
こういった「対策本部」のような時限付きかつ寄り合い所帯の部署の文書が解散後に散逸しやすいということは、公文書管理法制定過程の中で問題となり、第33条に「組織の見直しに伴う行政文書等の適正な管理のための措置」が加えられることになった。
つまりきちんと引き継がないとダメですよという決まりである。

一方、こういった組織が立ち上がるときの文書管理については、本来ならば公文書管理法第4条から第10条の「行政文書の管理」の条項が適用される。にも関わらず無視されているのが今回の事例である。
復興対策本部は第10条に基づく管理規則が作られたので文書管理がなされているが、規則が作られていない災害対策本部などの場合、公文書管理法が無視されるということが浮き彫りになったのである。

よって、今回の問題の解決策としては、過去の経緯を調べるということだけでなく、原子力災害対策本部と政府・東電統合対策室の行政文書管理規則を早急に立案し、これを公文書管理委員会へ諮問し、すぐに施行することが必要不可欠である。
これをやらなければ、いつまでたっても官僚達は文書をきちんと作らないし残さない。

根本原因をきちんと理解した上での対策が求められると思う。


追記(1/30)

hirajimukannさんよりコメントを頂きました。コメント欄まで見ない方が多いでしょうからここに貼っておきます。

 「原子力災害対策本部と政府・東電統合対策室の行政文書管理規則・・・」についてですが、行政文書管理規則は行政機関の長が定めるものなので、公文書管理法第2条に定義されている行政機関ではない機関で行政文書管理規則を定めるということはありえません
 もともと行政機関というのは法令の根拠がない限り作ることはできないので、法令の根拠がない組織は行政機関ではないのです。にもかかわらず、閣議決定や閣僚の指示・了解などのみで法的根拠のない組織が濫造されていることが、文書管理に限らずいろんな問題の原因になっています。
 ただ、これらの行政機関ではない組織については、通常は行政機関であるどこかの機関の組織が「庶務を担当する」、あるいは「事務局を運営する」ことになっているはずなので、法的にはその機関の行政文書管理規則が適用されることとなるはずです。よって適用される行政文書管理規則がないということはありません。ただ誰もそこまで意識していないのが現状なのでしょうが。
 同じように法定の行政機関ではない行政刷新会議や現在動いている内閣府の復興庁準備室の行政文書管理がどのような体制になっているのか興味があるところです。
by hirajimukann (2012-01-27 22:44)


なるほどというご指摘である。
本来ならば、このご指摘に基づいて上記の内容を変えるべきなのだろうが、むしろ私が読み違えた部分がこの問題の本質に関わる問題なので、私の間違えた部分は残した上で、修正を追記する形で処理しておきたい。

ご指摘の点は2点に要約できる。

・法的に行政機関として位置づけられていない組織には公文書管理法が適用されていない。
・しかし、そういう組織の事務は行政機関のどこかが庶務を担当しており、そこの行政文書管理規則が適用されるはずである。


まず、公文書管理法が適用される機関は、公文書管理法第2条第1項に記載がある。

第二条  この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
一  法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
二  内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
三  国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
四  内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの
五  国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの
六  会計検査院


今回の問題に関して関連があるのは第1号。

第1号は法律に「内閣に~を置く」といったような規定がある機関のこと。
内閣官房(内閣法)、内閣法制局(内閣法制局設置法)、安全保障会議(安全保障会議設置法)や宇宙開発戦略本部(宇宙基本法)などである。
東日本大震災復興対策本部は、東日本大震災復興基本法第11条に「内閣に、東日本大震災復興対策本部(以下「本部」という。)を置く。」という規定があるので、この第1号に該当する。
そのために行政文書管理規則が定められている。

第2号は、内閣府、宮内庁、公正取引委員会、国家公安委員会、金融庁、消費者庁のこと。
第3号はいわゆる常設の省庁や委員会を定めたもの。
第4号は警察庁、第5号は検察庁が該当する。

つまり、常設の省庁や委員会を除けば、第1号の適用がなされなければ公文書管理法に該当する「機関」として認定されないことになる。
だが、法的根拠が曖昧なまま作られている機関がたくさんある。(法律を作るには国会を通さなければならないので面倒だというのもあるのだろう。)
今回問題となった15の会議のうち、上記の第1号に適用される機関はほとんどないというのが実態であろう。

ただし、hirajimukannさんもおっしゃっているように、その法的根拠の曖昧な機関であっても、どこかの行政機関が事務を担当しているはずであり、そこには公文書管理法が適用されているはずである。
今回、原子力災害対策本部の過去の議事録の作成を、枝野経産相が「事務局を務める経産省原子力安全・保安院」に指示したのは、このためである。

私が読み違えたのは、公文書管理法は災害対策本部のような暫定的な機関であっても、行政機関である以上は適用されるものだと思い込んでいたところである。ここは明らかに私の理解不足であった。
また、事務を担う機関には公文書管理法が適用されているので、私が書いた「文書管理規則がない」から問題なのではなく、「あるのに適用していない」ということの方が指摘としては正しいということになるだろう。

つまり、
「確かにその該当機関には公文書管理法が適用されていないが、事務局を担う行政機関には公文書管理法が適用されており文書の作成義務はある。それに違反していたのではないか。」
との指摘が一番正確であったという所だろうか。

まだまだ法律の理解が甘いということを実感させられた。
法の運用の際に出てくる問題を正確に理解するのは本当に難しい。
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記録管理学会で講演します。 [2012年公文書管理問題]

すでに1月も半ばですが、あけましておめでとうございます。
今年も当ブログをよろしく御願いいたします。

2月10日(金)に記録管理学会の例会で講演をすることになりました。
平日の昼間ですのでなかなか行きづらい方も多いかと思いますが、よろしければご参加ください。
事前申し込みが必要だそうです。

なお、話す内容ですが、学会の方からは「著書の1章を中心に+資格制度の話は混ぜてくれ」という依頼を受けておりますので、そういった内容で話そうと思います。

以下、学会から送られてきた案内状をコピペします。


-記録管理学会「第138回例会」開催のご案内-

 このたび、一橋大学特任講師の瀬畑源氏が新著「公文書をつかう --- 公文書管理制度と歴史研究」(青弓社)を上梓されました。この本では、公文書管理法の制定過程を丁寧に検証し、歴史研究者の立場から公文書管理制度の課題を明らかにされています。瀬畑氏は、公文書管理に関するさまざまな問題を独自の視点で綴ったブログ「源清流清」でも有名ですが、今回は公文書管理に関する本格的な著作を世に問われたわけです。
そこで当学会では、同氏を講師にお迎えし、「私の考える公文書管理の課題」をテーマに講演をお願いすることに致しました。奮ってご参加ください。
 尚、例会終了後は有志による懇親会を予定しております。

    記

Ⅰ.日 時: 平成24年2月10日(金)15時00分~17時00分(予定)
Ⅰ. 会 場: 日本文化興隆財団会議室(渋谷区千駄ヶ谷)受付14:30~
(アクセスURL http://www.nihonbunka.or.jp/access/index.html
Ⅰ.講 演:「私の考える公文書管理の課題」
Ⅰ. 参加料(1名につき): 会員 □2,000円 非会員 □3,000円  
Ⅰ. 申込先:一般社団法人日本経営協会検定事務局 (TEL:03-3403-1472)

※講師略歴 瀬畑 源(せばた はじめ)一橋大学大学院社会学研究科特任講師、一橋大学博士(社会学)、専攻は日本近現代政治史。論文に「昭和天皇「戦後巡幸」の再検討―1945年11月「終戦奉告行幸」を中心として」(「日本史研究」2010年5月号)など。
お申し込みはFAXまたは同内容をE-mailでお送りください。
検定事務局行 FAX:03-3403-1602 E-mail: f-ken□noma.or.jp(□は@にしてください)

ご芳名: 会員№:
所属名:
連絡先(Tel/e-mail):
○例 会 □ 参加する     □ 不参加
○懇親会(4,500円) □ 参加する     □ 不参加   

記録管理学会
http://www.rmsj.jp/


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NHKアーカイブスについて聞いてきた [2011年公文書管理問題]

12月21日、所属大学のプロジェクトの関係で渋谷のNHKにおいてライツ・アーカイブズセンターの関係者の方と会う機会があり、NHKアーカイブスについて色々とうかがってきた。
メモ代わりに、まとめて書いておきたい。

なお、私がメモしたことなので、正確に聞き取れていない点、勘違いした点などあると思いますので、参考程度に考えてください。
関係する記述はある程度固めておきますが、基本的にバラバラに列記しておきます。

(ここから)

・NHKでは以前は「放送」の名の通り、流しっぱなしで保存することを考えていなかった。また、著作権法上でもNHKが一からすべて作ったもの以外は6ヵ月しか保存できないという規定があったため、保存することも難しかった。また、1960年代から使われるようになったVTRテープは上書きして繰り返し使えるので、コスト削減のために何度も利用されていた。よって上書きされた番組は残っていない。

・1985年から番組を残そうということになり、文化庁にも許可を取って番組ライブラリーを整備した。その後、保管スペースの問題が出てきたので、川口のラジオ送信所があったところに施設を建てることになった。
・その際に「活用のため」という理由で予算を取った。設立理念として「活用」がまず第一に存在する。施設を作る際も一般公開場所の確保は当然であった。

「活用」が大前提。NHKは公文書館などとは違い、保存や公開の義務は全く負っていない。ただ、受信料で成り立っている組織である以上、視聴者に還元することが必要。
・アーカイブスは建物の建築に80億かかっている。毎年の予算で一番かかるのは「保存用メディア」。1本2万円かかり、さらに再利用できないので、全ての番組を保存しようとしたらそれだけで1年で億単位のお金をかけざるを得なくなる。

基本的には記録媒体の置き換えは行っていない。ただし、再生機器が無くなりそうなものについては置き換えを行っている。また、フィルムなども、太さの種類はそれほど多くなくても、音声がフィルムについているような特殊なフィルムがあったりなど、フォーマットにはかなりバラツキがある。でも、全てに対応する再生機器は残っていないので、再生が全て完全な形で再現できなくても、そのあたりは割り切って仕方がないと思っている。

映像のデータベースにはメタデータを付けている。いま放送しているものは、「放送管理システム」に出演者や内容の情報、著作権等の情報も書いてあるため、その情報をそのままアーカイブスのデータベースに流している。極力アーカイブス側が新たに情報を打たなくて済むようにしている。

番組製作の際には、現場に著作権処理用のフォーマット文書を渡してきちんと許諾を取ってくれと言っているが、なかなか守ってもらえない。また、権利意識が強くなっているので、「放送ならいいけど、永久に保存されるのは・・・」という人も多くなっていて簡単ではない。また、「保存」すると言うと、出演料以外のお金を要求されることもあるので一概に強制できない。現場にとっては「放送される」ことが第一であり、余計なトラブルは抱え込みたくないのが人情。

過去に放送されたものについては、タイトルしかデータベース化していない。ただし、番組製作の際の資料として使った番組については、その際に調べた情報をメタデータとして打ち込むことにしている。
・よって、過去の映像は系統立ててメタデータを付与することをしていない。あくまでも「使った際に付ける」ことしかしない(使わない映像にメタデータを付けるのは「無駄」)。映像を探すのはプロデューサーなどの「勘」。

・番組を作る際に利用した素材については、重要な番組(シルクロードなど)では保管されているものもある。整理してメタデータを付与(映像シーンごとに)。しかし、取材記録は制作者自身の資産になっていることが多いため、映像が何かわからないケースもよくある。
・地方局に保管されている映像もデータベースには入っている。(参考:映像そのものはどうやら川口には集めていないようだ。)

・放送の場合、基本的には「放送に利用する」という所でしか許諾を取っていないケースが多い。そのため、「保存」するためにも新たな許諾が必要となった。過去の映像の場合、権利者団体などと話し合ってルールを決めていった。また、神社仏閣の中では「1回の放送なら良いが・・・」といった形で許可を得て撮影したものもあり、そういったところも一つ一つ許可を取ってきた。

ニュース番組は「見逃し」でのオンデマンド配信(1週間)しかしていない。その理由は「ニュースはその時のものでしかない」から。アナウンサーは3日後に違うことを言うことも当然ありうる。そのため、ニュース映像は短期間しか公開しない。(参考:NHKのトライアル研究においても、ニュース番組を見れてもアナウンサーの声などが全てカットされているらしい。)
過去のニュース番組を公開しないのは、これに加えて著作権処理が面倒くさいというのもある。コメントを求めた有識者や写した映像に出ている方などからいちいち保存や公開の許諾をもらうのも手間がかかる。

「戦争証言アーカイブス」で公開している元兵士達のインタビューは、元から公開する予定で許諾などもすべて取って取材を行っていた。
NHKはインターネットで自由に映像を公開できないことになっている(事業関係のものしか上げられない)。ただし、歴史的に重要なものなどは認められており、「戦争証言アーカイブス」はその一環として許されている。

・現在は映像は保存できないもの(海外から買っているドラマなど)以外は原則残している。保存スペースの問題は、いずれ保存媒体も小さくなると思うので、それほど心配していない。

NHK的には保存している映像は全て一般公開しても構わないのだが、法的な問題や人権などの問題がどうしても大きい。例えばある夫婦を撮った映像があったとして、その後離婚してしまった場合、元の映像を流して良いのかというレベルの話も問題になりうる。また、ある番組でAさんを中心にストーリーを作った所、取材したBさんから「あの描き方は納得いかん」と抗議されて、結局二度と使えなくなってしまったようなものもある(某○○○○○○Xの一部の番組など)。こういったものの公開は、やはり慎重にならざるをえない。

(ここまで)

話をうかがっていて気づいたことは「発想が公的なアーカイブズとは違う」ということだ。
公文書館などでは基本的には資料は平等に扱う。(もちろん「原則」でしかないが。)
なので、目録を作成する際には一点一点網羅的にデータを拾っていく。「この資料は重要だから目録に詳しく記載し、他はタイトル以外データを付けない」という発想にはならない。
つまり、「保存・整理」が基本にあり、そこから「活用」があるのだ。

一方、NHKアーカイブスでは「活用第一」であり、保存・整理などはそれに伴うものとして位置づけられている。
つまり、極端な言い方をすると「活用できない資料は無駄」という発想になっている。
その際に持ち出される論理は「受信料で経営されているから」というものである。
つまり、利用できない資料を抱えることは「視聴者に説明がつかない」というのだ。

これが良いか悪いかの判断はできない。
NHKの置かれている状況を考えると、おそらくそういう論理を構築しなければアーカイブスが作られることも無かったと思う。
実際に話の節々から察するに、アーカイブスがなぜ必要なのかという点を内部からも常に問われる立場にあるようだ。
その時に「活用する」という論理を前面に出す以外に、生き残りようもないというのは理解できなくはないのだ。

ただその論理は、NHKにとって不都合なものが隠されることにつながってくる可能性がある。
例えば、ニュース番組のアナウンサーの声を消すという発想は、「過去に言ったことを追及されることを怖れている」ようにしか見えない。
今回の震災の時の報道を検証しようとした場合、その時その時でアナウンサーが何を話していたのかは重要な意味を持つことになる。
アーカイブズ的な発想ならば、むしろそういったものは残して公開するということになるのだが、NHK的にはおそらくそうはならないということなのだろう。

結局は、映像保存をNHKの努力に任せているということ自体の限界であるように思える。
日本ではどうしても著作権の問題が非常に大きく(あとは肖像権の問題もあるんだろうが)、法的な部分を変えないと、今のNHKアーカイブスのあり方は現状では仕方がないのだと思う。
やはり本来なら、フランスのように、国が全てのテレビ放送を録画保存し、それを研究のために公開するというシステムが必要なのではないだろうか。

日本近現代史を専攻する歴史研究者は、資料が公開されていないために、ラジオとテレビという媒体を「無かった」ことにして研究をせざるを得なくなっているのが現状だ。
本来ならば、音声や映像は多くの人々に影響を与えていたはずであるにもかかわらず、資料自体が無いので証明しようがないのだ。
NHKだけでなく他の民放などにも保存されている映像記録などが、研究のために自由に使えるようになることは、歴史研究者(だけでなく、他の分野の研究者も)からは待ち望まれていることである。
その意味でもNHKのトライアル研究は、非常に重要な意味を持っており、是非とも継続的に続けていただきたい事業である。

断片的ですが、今回の訪問で考えたことを述べてみました。
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移管・廃棄簿について考える [2011年公文書管理問題]

公文書管理法が施行されてから半年以上経過し、さまざまな変化がおきています。
ただ、その中には施行後に「後退した」点もあるようです。

次に書く話は、一つの問題提起として書いておきます。
私自身が気づいた話ではありませんが、問題の一つとして認識してもらえればと思います。

先日、ある外交史の研究者の方から、「行政文書管理ファイル簿において、文書が「移管・廃棄」された場合、文書名が即座に管理簿から削除されてしまうので、いったいどのファイルが移管ないしは廃棄されたのかわかりづらくなったということを伝えられた。
これまでは、移管・廃棄されてから5年間は管理簿に記載されていたため、どのファイルが移管・廃棄されたかがある程度追跡することができたのだという。

そこで、過去の制度と現在の制度を改めて比較をしてみた。

公文書管理法施行以前の管理簿の扱いについては、「行政文書の管理方策に関するガイドラインについて」によって定められていた。
これの「第5 行政文書の管理台帳」の(5)によれば、「保存期間の満了に伴い廃棄又は移管の措置を講じたときはその旨を追記し、その後5年間経過した時点で削除することとなる」との記載があり、廃棄・移管をした場合は5年間管理簿に情報を残さなければならなかった。

施行後の管理簿の扱いについては、「行政文書の管理に関するガイドライン」に記載され、これに基づいて各行政機関の管理規則が定められている。
これの「第6 行政文書ファイル管理簿」の2の(3)によれば、「文書管理者は、保存期間が満了した行政文書ファイル等について、国立公文書館等に移管し、又は廃棄した場合は、当該行政文書ファイル等に関する行政文書ファイル管理簿の記載を削除するとともに、その名称、移管日又は廃棄日等について、総括文書管理者が調製した移管・廃棄簿に記載しなければならないと記載されており、移管・廃棄をした場合は管理簿から「削除」した上で「移管・廃棄簿に記載する」となっている。

つまり、先の研究者の方がおっしゃっているように、現在ではファイル管理簿からは移管・廃棄についてわからなくなってしまっている。
なお、「移管・廃棄簿」を自発的に各行政機関が公表する義務は、ガイドラインでは定められていない。

もちろん、この「移管・廃棄簿」は情報公開請求を行えば見れるものだが、移管・廃棄される文書は膨大であり、公開されたとしても、電子データのままもらえるのであれば検索が可能であるが、紙や印刷されたものをPDF化したものなどが配布された場合、一つ一つデータを確認する必要に迫られる。
また、自分が知りたいデータが「何年度に廃棄・移管されたのか」もわからないので、この情報公開請求も簡単ではない。

この問題については、正直自分は全く気づいていなかった。
指摘されて初めて、「なるほどこれは以前より後退している」ということに気づいた。

どの文書が移管・廃棄されたのかが公表されていることは非常に重要である。

移管については、のちに国立公文書館等で公表されれば、どの文書が移管されたかがわかるようになる。
現在では移管されてから1年以内に目録登載義務が国立公文書館等にある。
ただ、移管・廃棄の全体像を把握するには、国立公文書館等の検索システムだけではわかりづらいだろう。

大きな問題となるのは「廃棄」された文書についてである。
廃棄簿は以下の点から公表が必要である。

まず、歴史学上の問題においては、その部局で業務が行われていた際に、どういう文書が作成されていたのかという全体像を把握する上で廃棄簿は必要である。
移管された文書は、作成されていた文書の一部に過ぎない。移管された文書の位置づけを考える際にも廃棄簿は必要不可欠である。

次に、移管・廃棄業務を監視するために必要である。
移管・廃棄は各行政機関の長によって決められることになっている。
内閣総理大臣(事実上内閣府)が廃棄についてはチェックをしているが、膨大な件数があるために、必要な文書を廃棄から救い出せているかは未知数である。
そのため、廃棄簿を公表しておくことは、外部からチェックを行うためにも必要である。

よって、この「移管・廃棄簿」を各行政機関が自発的に公開することは検討されてよいのではないだろうか。
これは、国民への説明責任を果たす上でも必要な手続きであり、公文書管理法の理念にもかなっているように思われる。
また、特に法改正は必要ない事項であり、内閣府からの通達レベルで何とかなるレベルだろう。
さらに、各行政機関は「移管・廃棄簿」自体を電子データとして持っているわけだから、それをPDF化してウェブサイトに上げればよいだけであり、大した手間はかからない(ファイル名に個人情報とかが入っていれば墨塗りするなどの必要はあるだろうが、それほどの件数とは思えない)。

先述したように、情報公開請求すれば確かに公開されるであろうが、1年間で100万件の移管・廃棄対象文書があるということを考えれば、請求する負担を国民の側におしつけるのはいかがなものかと思う。
「移管・廃棄簿」の公表を是非とも検討してもらえればと思う。


なお余談ではあるが、「移管・廃棄簿」は各行政機関で30年間保存され、その後「廃棄」されることが決まっている。
ただし、内閣府が廃棄の承認に関する文書を国立公文書館に移管するとのことなので、「移管・廃棄簿」自体は、30年経過した後に内閣府から移管され、国立公文書館等で公開されることになろう。

このあたりの経緯については、三木由希子さんのブログに詳しいので、そちらを参照のこと。

「廃棄簿の保存期間と廃棄」
http://johokokai.exblog.jp/15577258/

「移管・廃棄簿の扱い 第6回公文書管理委員会①」
http://johokokai.exblog.jp/15801042/
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