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『公文書問題 日本の「闇」の核心』刊行 [2018年公文書管理問題]

2018年2月16日に、拙著『公文書管理問題 日本の「闇」の核心』が集英社新書から発売されます。
『時の法令』の2016年4月から2017年12月までに月一回(下旬号)連載されたものを、口語体にして情報を更新したものです。

この本の出版を集英社から持ちかけられたのは、昨年7月のことです。
久保亨先生と出した『国家と秘密 隠される公文書』が増版されたので、そのお祝いに飲んだときに、編集の方に依頼をされました。



この本を出したのは2014年10月で、特定秘密保護法の施行を間近に踏まえた時でした。
ただ、編集の方からは、この本を更新するものを出したいという話はちらちらとされてはいました。
それで、連載を本にするということになり、『時の法令』の編集をしている雅粒社の方にも許可をいただき、出版することになりました。

書き下ろしとなると時間が取れなかったですが、連載をしていると自然と原稿が溜まっていくのだなというのが発見でした。
現在では、以前は繁雑に更新していたこのブログの代わりに、『時の法令』で連載をしているという状況になっており、その時々の備忘録としての役割を連載が担っていました。

『時の法令』の連載は来年度も続くことが決定しています。
こちらも合わせてよろしく御願いします。

公文書管理については、注目されないぐらい上手くいっていることが理想ではあります。
ただ、現状はまだまだ道半ばであり、問題点を広く知らせる本には社会的な意味があるのではないかと思います。

公文書管理問題は、民主主義の運用に関わる問題です。
少しでもこの問題に関心を持ってくれる方が増えてくださると著者冥利に尽きます。




内容紹介
◆推薦◆
青木理氏(ジャーナリスト)
「私たちは無知に追いやられていないか。
無知に追いやられ、都合よく支配されようとしていないか。
本書で著者が書く通り、
これは〈民主主義のあり方自体の問題〉なのである」

望月衣塑子氏(東京新聞記者)
「時の権力者への検証と、
歴史の過ちを繰り返させないためには、
公文書が不可欠なツールであることを
本書は教えてくれる」


◆内容◆
海外に派遣された自衛隊員の現地での活動記録や豊洲市場、森友、加計学園等をめぐる巨額の税金の使途、国是の大転換を伴う決定のプロセスが記された公文書が相次いで破棄、あるいは未作成とされ、隠蔽される事態が行政の中枢で常態化しています。
公文書を軽んじ、秘密が横行することは国民の「知る権利」を著しく傷つけるものです。本来公文書は、適切な施政が行われたのであれば、それを証明する記録となります。にもかかわらず、公的な情報を隠し続けて責任を曖昧にする理由は何でしょうか。この「無責任の体系」の背後にある情報公開と公文書管理体制の不備とその弊害を、最新情報を交え、第一人者が明快に解説します。

◆目次◆
はじめに 行ったことの検証を疎かにすることは、同じ過ちをくり返すこと

◆第一部 情報公開と公文書管理はなぜ重要か
第一章 記録を作らない「法の番人」
第二章 情報公開がなぜ必要か
第三章 公文書を残さなければ国益を損なう――TPP文書 外交文書公開をめぐる議論
第四章 外交文書を公開する意義

◆第二部 特定秘密という公共の情報を考える
第五章 特定秘密の運用上の問題
第六章 会計検査院と特定秘密
第七章 特定秘密をどう監視するか

◆第三部 公文書管理は日本の諸問題の核心
第八章 豊洲市場問題からみる公文書管理条例の必要性
第九章 南スーダンPKO文書公開問題
第一〇章 特別防衛秘密の闇
第一一章 森友学園関係公文書廃棄問題
第一二章 「私的メモ」と行政文書

◆第四部 展望:公文書と日本人
第一三章 国立公文書館の新館建設問題
第一四章 公文書館と家系調査
第一五章 立法文書の保存と公開
第一六章 東京都公文書管理条例の制定
第一七章 公文書管理法改正を考える
第一八章 公文書の正確性とは何か?

おわりに
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行政文書の管理に関するガイドライン改正案へのパブコメ [2017年公文書管理問題]

現在、公文書管理法に基づく「行政文書の管理に関するガイドライン」の改正案が提示され、パブリックコメントが行われています。2017年12月10日(日)まで。
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/index/iken.html

このガイドラインの改正は、森友、加計問題などへの対応として行われているものです。
内容を具体的に解説をしている時間的な余裕がないので、それをブログに書けませんが、パブコメは作成して送付したので、参考までに下記に貼っておきます。

「第1」という記述は、ガイドラインの「第1」のことです。
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/index/pdf/shinkyu.pdf

この改正案については、毎日新聞11月9日朝刊や12月1日朝刊の記事などを参考にしてください。
https://mainichi.jp/articles/20171109/ddm/003/010/105000c
https://mainichi.jp/articles/20171201/ddm/004/010/024000c


行政文書の管理に関するガイドライン改正案に対する意見
瀬畑 源

1.第1、「行政文書」の該当性について
 「どのような文書が「組織的に用いるもの」として行政文書に該当するか」は「総合的に考慮して実質的に判断する必要」とされているが、「総合的」「実質的」が何であるかは明確ではない。複数人が閲覧した文書は「組織的に用いるもの」と自動的になるべきものであり、その「実質的」な判断が、公務員の恣意的なものであってはならない。

 よって、この項目に「原則複数人が閲覧した文書については、「組織的に用いるもの」とされる」といった内容の記述を加えるべきである。


2.第3の3、適切・効率的な文書作成について
(1)文書の正確性を確保するために、文書管理者が確認するとあるが、これは課長級の文書管理者が、行政文書であるか否かを決める権限を持つということに他ならない。公文書管理法の行政文書の定義は、①職員が職務上作成・取得、②組織的に用いる、③当該行政機関が保有している、の3点を満たすものである。つまり、職員の意思ではなく、外形的にこの3点を満たすものが行政文書であると定義されている。

 しかし、今回のガイドラインの改定は、行政文書にするかどうか(特に②について)の判断を課長級の文書管理者が行うことになっており、本来ならば行政文書として定義されるべき文書を意図的に排除することが可能になる。これは公文書管理法の趣旨をねじ曲げるものである。

 あくまでも文書が作成・取得された後、複数の職員によって共有される状態(会議に提出される、メールで回覧される、上司に報告するなど)になったときには、行政文書になることを徹底すべきである。文書の作成者が誰であり、どの使用状況(会議資料など)で出された文書であるのかを明確にする仕組みがあれば十分である。

 よって、3(1)にあたる「正確性の確保」に関する記述は削除し、文書の作成者と使用状況がきちんと文書に明記されることを挿入すべきである。


(2)外部との打合せ等記録の作成の際に、相手方の確認を取るとの記載があるが、この義務化には懸念を表する。

 相手方の確認を求めることは極めて煩雑なやりとりが必要になる。さらに、公務員以外の外部とのやりとりまで確認をすることが義務づけられており、現場がその時間とコストを負担せざるをえなくなる。その結果、時間とコストの削減のために、差し障りのない情報しか記載されない文書を作成するインセンティブが働くことになる。双方の意見が割れているような情報は、修正が煩雑になるため、文書として残らなくなる可能性が高まるだろう。

 「相手方の発言部分等について記録を確定し難い場合は、その旨を判別できるように記載する」との記述によって、煩雑な場合は確認を省略できるような書き方になっている。それを許すのであれば、最初から外部への確認を義務づける必要はない。そもそもとして、打合せ後には「業務に必要な」記録を自分たちで作るはずであり、それに基づいて業務が行われる以上、当該行政機関が自分たちで記録を作れば、「正確性」は担保できるはずである(虚偽の文書をわざわざ作成して業務を行う機関はありえない)。

 外部との記録の確認は「必要に応じて行う」こととし、各行政機関が打合せ等の記録をきちんと作成することを義務づければ十分である。なにか問題が起きれば、双方の文書を公開して確認すれば十分であろう。

 よって、3(2)の外部の確認の記述は削除し、「打合せ等の正確性を期するために、各行政機関がおのおの記録を作成することを義務づける」ことに変更するべきである。


3.第4の3(6)1年未満文書の類型について
(1)②から、政務三役(大臣、副大臣、政務官)の日程表については除外をするべきである。大臣などの日程や面会記録などは、職務の中立性に関わる重要な文書である。1年未満で廃棄されるのはおかしいと思われる。

(2)⑥の「意思決定の途中段階で作成したもので、当該意思決定に与える影響が極めて小さく、長期間の保存を要しないと判断される文書」については、「影響が極めて小さい」ことの具体的な例を挙げて、定義を限定するべきである。

 これまでも政策決定過程を残さなければならないと公文書管理法第4条があるにも関わらず、決裁文書のみを政策決定過程とみなすことが煩雑に起きていたことが、森友学園問題などの原因となった。「極めて小さい」の定義を、形式的な字句の訂正に限るなど、具体例を挙げるべきである。


4.第5の「○○省行政文書ファイル保存要領(例)」について
 要領(例)の2の「電子文書の保存場所・方法」において、「文書管理者による確認」が必要とされている。共有の保存場所に保存する文書を「行政文書」とみなすのであれば、課長級の文書管理者による確認は必要なく、複数人で共有されたときに各職員が共有フォルダにファイルを入れればよい。

 文書管理者の確認を必要とするという書き方は、課長級が行政文書であるかどうかを恣意的に判断できることに繋がる。よって、「文書管理者による確認の上」という記述は削除されるべきである。


5.第9 研修に関して
 公文書管理制度がより良く運用されるには、現場の職員への趣旨の徹底が不可欠である。しかし、施行6年が経ったにもかかわらず、公文書管理をめぐる不祥事は絶えない。これは、研修が必ずしも上手くいっていないという証拠であると思われる。各行政機関でどのような研修を行っているかは、外部からは実態がほぼ把握できない。

 よって、各行政機関が研修の具体的な内容を公表することを義務づける記述を挿入するべきである。また、内閣府が作成中のe-ラーニングについても、その内容の公表を義務づけ、具体的な公文書管理の方法について、国民に情報を開示するべきである。
 研修の内容を公表し、よりよい研修のあり方について、公文書管理委員会や外部有識者からの意見を求めるべきである。


6.別表第2 保存期間満了時の措置の設定基準について
 留意事項として具体的な文書類型を提示したことは評価できる。しかし、これまでの国立公文書館等への移管状況を鑑みるとき、「外交」「防衛」「公安」についての文書が、きちんと移管されていないことに気づく(外交については、外務省以外の経済産業省などが特に移管されていない)。
 
 よって、留意事項のⅠに、「外交」「防衛」「公安」の重要な文書が移管対象であることを明記するべきである。

以上

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衆議院選挙公約における公文書管理制度改革 [2017年公文書管理問題]

ものすごく久しぶりのブログ更新です。
今回は、2017年10月22日投票の衆議院議員選挙における、各党のマニフェストの比較をします。

私の関心は、森友・加計・南スーダンPKO文書などの様々な問題で採り上げられた「公文書管理法」に関する記述がどのように書かれているかです。

まずは与党から。

□自民党
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/manifest/20171010_manifest.pdf

Ⅳ. 国の基本 政治・行政改革
・国民への情報公開、説明責任を全うするため、行政文書の適正な管理に努めます。
(37ページ)

【コメント】特に重点的な政策として取り上げられていない。また、一般論的なことしか書かれておらず、あまり熱心さは伝わらない。


□公明党
https://www.komei.or.jp/campaign/shuin2017/manifesto/manifesto2017.pdf

⑥政治改革と行財政改革 ⑶ 行政サービスの向上と効率化

●公文書管理のガイドラインを改正し、国の行政機関等の公文書管理を厳格化し、国民への適切な情報公開体制の整備を図ります。
(21ページ(最後))

【コメント】マニフェストの最後の最後に書いてあった。自民党と比べると、ガイドラインの改正に言及し、「国民への適切な情報公開体制の整備」という所に踏み込んでいるので、より積極性はうかがえるが、重点政策には取り上げられていない。


次に野党。

□希望の党
https://kibounotou.jp/pdf/policy.pdf

公約 8 憲法改正
憲法9条をふくめ憲法改正論議をすすめます。
国民の知る権利、地方自治の分権を明記します。

自衛隊の存在を含め、時代に合った憲法のあり方を議論します。
たとえば、国民の知る権利を憲法に明確に定め、
国や自治体の情報公開を進めること。
地方自治の「分権」の考え方を憲法に明記し、
「課税自主権」、「財政自主権」についても規定すること。
これらを含む憲法全体の見直しを、
与野党の協議によって進めていきます。

〔具体的な記述〕
8.憲法に希望を ~地方自治、国民の知る権利など幅広く憲法改正に取り組む~

•国民の知る権利を憲法に明確に定め、国や地方公共団体の情報公開を抜本的に進める。
(15ページ)

【コメント】公約8のページに大きく記載があり、「知る権利」や「情報公開」を重点的な政策として置いていることがわかる。「知る権利」の憲法への明記は、かなり踏み込んだ主張。
憲法改正の中に情報公開を位置づけるというのは、保守の側からの情報公開への取り組みとして、興味深い考え方に見える。


□日本共産党
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2017/10/2017-senkyo-seisaku.html

重点政策
1、森友・加計疑惑を徹底究明し、国政の私物化を許しません
 安倍首相の昭恵夫人が名誉校長だった森友学園に、国有地が8億円も値引きされてタダ同然で払い下げられていました。安倍首相の「腹心の友」という加計孝太郎氏が長年にわたって要望してきた獣医学部新設が、安倍首相が議長の国家戦略特区会議で唯一例外的に認められました。安倍首相夫妻の「お友達」に、行政が歪められて特別の便宜が図られたという、重大な国政の私物化疑惑です。

 国民の7~8割が安倍首相の説明に「納得できない」と言っています。「資料は捨てた」「記憶にない」を繰り返しながら「手続きは適正」と開き直る、批判をする者は「悪者」扱いして権力を使って潰そうとする、都合の悪い事実が明らかになると「私は知らない」「秘書官や役人が勝手にやった」と部下に責任をおしつける――こんな説明に国民が納得できないのは当然です。

 真相究明の最大の障害になっているのは、安倍昭恵夫人、加計孝太郎氏という二人のキーパーソンが口をつぐんで何も語ろうとしないことです。日本の行政を法治国家としてまともな姿にするためにも疑惑の徹底究明は不可欠です。

 ――安倍昭恵氏、加計孝太郎氏ら、関係者の証人喚問をはじめ、国会の強力な国政調査権を使った真相究明を求めます。

 ――「国民の知る権利」の立場にたって、公文書管理と情報公開のあり方を根本からあらため、公正・公平な行政を確立します。

 ――内閣人事局を廃止し、「全体の奉仕者」としての公務員にふさわしい人事制度を確立します。

【コメント】森友・加計問題への徹底追求からの、公文書管理、情報公開の改革という主張。ただ、公文書管理制度改革が疑惑追及の手段のみに止まっているようには見える。


□立憲民主党
http://cdp-japan.jp/teaser/pdf/pamphlet.pdf

4 徹底して行政の情報を公開します
 知ること、議論すること、そして声を上げること。それは民主主義の根本です。しかし、2012年に安倍政権が誕生してから、政治は一部の権力者に私物化され、大切な情報が隠蔽されてきました。私たちは、現在の政治に違和感や怒り、不満を持つ人たちの声を、しっかりと受け止めます。適切なルールにもとづいて情報を公開し、オープンでクリーンな政治を実現します。

1 政府の情報隠ぺい阻止、特定秘密保護法の廃止、情報公開法改正による行政の透明化

2 議員定数削減、企業団体献金の禁止と個人献金の促進

3 中間支援組織やNPO団体などを支援する「新しい公共」の推進

4 公務員の労働基本権の回復、天下り規制法案の成立

5 取り調べの可視化をはじめ、国民から信頼される司法制度の確立

【コメント】情報公開が民主主義にとって重要という、情報公開の根本から理念を打ち立てていると言う意味で、他の政党と一線を画している。情報公開の前提となる公文書管理法に触れていないのはやや残念。


□日本維新の会
https://o-ishin.jp/election/shuin2017/common/pdf/manifest.pdf

記述なし

【コメント】うーん・・・。森友問題で大阪府から全く文書が出てこなかったことからしても、維新が公文書管理や情報公開に関心がないことはわかっていたが、記述が一切無いとは…。
自民党すら最低限の記述はあるのに。
全くこの問題に意識のないことがわかる。


□社民党
http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/election/2017/commitment.htm

政治 変えます
10 「モリカケ」疑惑の徹底究明、権力の私物化を許さず、国民優先のクリーンな政治

○政治と行政を私物化した森友学園・加計学園疑惑を徹底究明します。

○国民の知る権利の観点で情報公開制度と公文書管理のあり方を見直し、透明で公正な行政をめざします。
(以下略)

【コメント】共産党とスタンスはほぼ同じ。森友・加計問題への徹底追求からの、公文書管理、情報公開の改革という主張。


以上を見ていると、与党側はとりあえずマニフェストには入れておいたという対応です。

野党側は、希望の党は知る権利の憲法明記を打ち出し、立憲民主党が情報公開の理念から踏み込んでいる所を見ると、旧民進党の公文書管理や情報公開に詳しい議員が、マニフェストの記述に関与した可能性があります。
立憲民主党は、公文書管理法の作成に関与した議員(枝野幸男氏や西村智奈美氏など)が流れ込んでおり、踏み込み方が一番強いという印象です。

共産や社民は森友・加計問題への対応で、公文書管理法や情報公開法の強化を要求しています。
維新はこれでいいのかと言いたくなります。

私は与野党通じて、この問題に関心がある議員には、何とか国会に戻ってきてほしいと願っています。
公文書管理制度の改革は、与党か野党かは関係なく、行政の効率化や透明化に必要不可欠なものですが、なかなか理解して下さる議員の方は少ないのが現状です。

公文書管理法の骨抜きの改革が政府によって進められてきている現状、なんとか少しでもこの問題に関心がある人が生き残って欲しいと心から願ってやみません。
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公文書管理法5年後見直しの報告書について [2016年公文書管理問題]

公文書管理法が施行されてから5年が経過し、附則に定められた見直しが公文書管理委員会で検討され、報告書が2016年3月23日に出されました。

公文書管理法施行5年後見直しに関する検討報告書(案)→そのまま変更無し
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2015/20160323/20160323haifu1-2.pdf

この報告書についてコメントしてみたいと思います。

そもそも、関係者から洩れ伝わる話として、所轄の内閣府公文書管理課があまり見直しに乗り気ではないということは聞いていました。
結果として、非常に抽象的であいまいな報告書がでてきたというのが率直な感想です。

まず「基本的な考え方」として、公文書管理法の評価が書いてありますが、以前より「改善」という評価が強く、問題点として指摘されたのは、「(1)現用文書と非現用文書をつなぐ評価選別の在り方、(2)特定歴史公文書等、(3)地方公共団体における文書管理」の3点に絞られました。

そこであげられた「見直しの方向」は、概要によると以下の通り(下線も本文の通り)。

(1) 現用文書と非現用文書をつなぐ評価選別の在り方について
研究者の知見・協力を活用した評価選別の在り方を向上させる仕組み
専門職員の育成・配置等、各行政機関における 文書管理業務を支援する仕組み
学識経験者の知見・協力を活用した文書管理に関する評価・検証を行う試み
○ 電子文書の適切な保存・移管のための電子中間書庫の検討文書管理システムの改善
○ Web・サテライト研修等の多様な研修の実施コンテンツの充実

(2)特定歴史公文書等について
○ 利用者の声も踏まえ、専門職員の増員等、利用サービスの更なる充実
○ 「時の経過」を踏まえた利用決定を行っている国立公文書館等の現状や運営体制、諸外国における判断ルール、個人情報の取扱に関する議論の状況等に配慮した 利用審査事務・不服審査事務の効率化
○ 国立公文書館等の指定に当たって指針となる 「特定歴史公文書等の保存、利用及び廃棄に関するガイドライン 」について、独立行政法人等の視点を踏まえた見直し

(3)地方公共団体における文書管理について
○ 地方公共団体の参考となる取組の情報収集・提供や、実務的な課題の支援等、国や国立公文書館が地方公共団体を積極的に支援し、普及・啓発を実施する取組

具体策が概要からは見えないと思って本文を見ても、ほぼこの内容に尽きています。
「どう具体的に改善するのか」が書かれる必要があるのに書かれていません。
どれもが改善する必要があることはたしかですが。

それもそのはずで、報告書は「見直しの方向性」というまとめ方をしており、すべてが「検討すべきである」という語尾になっています。
要するに「別のところで検討し直して具体策を立てましょう」としか読めません。

比較対象として、情報公開法の4年見直しの時を見ますと、直すべきところは「改善措置等」として「○○する必要がある」というまとめ方になっていました。
その結果、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の趣旨の徹底等について」(総務省行政管理局長通知)が出されたりするなど、法改正には繋がらなかったですが、いくつかの点では改善された部分もありました。
総務省のウェブサイトに「検討会報告等」「改善措置」として情報がまとめてあります。)

今回の「検討すべき」として挙げられた問題は、いったいどうやって検討を続けることになるのでしょうか。
その点が委員会で議論されていたかは、傍聴していなかったので良くわかりません。
法改正は今の政権から考えて難しいとしても、ガイドラインの改善など、すべきことは色々とあると思います。

なぜこんな中途半端なことになってしまったのかを考えてみると、公文書管理や情報公開、秘密保護、歴史的文書の管理など、それをまとめて構想する司令塔がいないということに原因がある様に見えます。
公文書管理は内閣府ですが、情報公開や文書の電子化は総務省、秘密保護は法務省ですし、国立公文書館は未だに独立行政法人と、制度に関係する機関がバラバラで、司令塔を欠いています。

そのため、自分の管轄以外の改善案が出てきません。
省庁を横断するには政治家のリーダーシップが必要だとは思いますが、この問題に関心のある人がそもそも少ないです。

ただ、それを言っては元も子もないというところでしょうから、結局は現場現場で改善を積み重ねていくしかないのでしょう。

今回の報告書をもとに、具体的な改善にどうやって繋げていけるのかを考えていく必要があると思います。
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情報監視審査会(特定秘密保護法)の審査報告書について [2016年公文書管理問題]

2016年3月30日、特定秘密保護法運用の監視を行う国会の情報監視審査会が、今年度の報告書を提出しました。

衆議院情報監視審査会報告書http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/jyouhoukanshihoukokusyo.htm

参議院情報監視審査会報告書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/ugoki/h28/160330.html

概要の紹介と簡単なコメントをしておきます。

報告書を比較します。

衆議院は各行政機関からのヒヤリング結果をかなり詳細に資料として付けています。
内容はどういった情報を特定秘密に指定しているのか(いないのか)という運用の概略について、ひたすらに情報収集を行っているという印象です。
また、どうやってこの審査会を機能させるのかという制度論の部分の議論も多いです。それに関連して、政府に対して「意見」を6項目付けています。

参議院は資料があまり充実しておらず、意見も特に付けていません。
野党が開催を要求できる人数を満たしている(3分の1以上)ため、衆議院の倍近く開催し、特定秘密を実際に提出させて議論するなど、衆議院より特定秘密の「内容」に関わる問題を議論していました。
なので議論の内容自体は面白いです。

衆議院が付けているような具体的なヒヤリングの結果を、参議院の報告書にも載せてほしかったというのが率直なところです。


報告書を読んでの感想ですが、所属した議員は頑張って職務に取り組んでいたとは言えると思います。
秘密保護法や安保法の反対運動のプレッシャーなどもあったでしょうが、自分達がきちんとこの審査会を軌道に乗せなければならないという意識は強くあったのではないでしょうか。

ただ、官僚からきちんと資料が出てこないことが多かったようです。
衆議院の報告書に次のような部分があります(12頁)。

情報監視審査会において、特定秘密そのものではない事項についても、政府は「答弁を差し控える」旨の答弁をすることが多かった。情報が開示されないと審査会の任務である特定秘密の指定が適正かどうかの調査ができないとの発言が委員からなされているところである。
〔中略〕
額賀福志郎会長から、審査会は特定秘密に関する国民と行政との接点にあるとの観点から、国益と国民の利益をよく勘案し、より良い方向性を作っていけるように関係者が努力する必要がある旨の指摘が幾度もされているところである。


与党自民党の委員長が「幾度も」指摘をしているというところから見てもわかるように、漏洩に対する罰則まで用意している審査会においてすら、答弁を拒否されたり、情報が出てこなかったりしたことが多かったのでしょう。
与党が圧倒的多数の衆議院の側が、「意見」をつけて文句を言いたくなるのだから、よほどのことだと思います。

衆議院側が出した意見は6つあります。


(1)特定秘密の内容を示す名称(特定秘密指定管理簿の「指定に係る特定秘密の概要」及び特定秘密指定書の「対象情報」の記載)は、特定秘密として取り扱われる文書等の範囲が限定され、かつ、具体的にどのような内容の文書が含まれているかがある程度想起されるような記述となるように、政府として総点検を行い、早急に改めること。
 その上で、各行政機関が特定秘密の内容を示す名称の付け方に関し、各行政機関の間でばらつきが出ないよう、横断的な事項について政府としてある程度統一した方針を策定し、公表すること。

特定秘密の「名称」や「概要」があまりに曖昧すぎて、「審査することは極めて困難であり、不適切」(報告書10頁)な状況であるとのこと。
内容がある程度わかるように具体的に書けということです。

行政文書のファイル管理簿ですら、文書名の曖昧さ(検索して特定されないように、わざと曖昧な名称にする)は問題になっており、特定秘密でも同様の問題が起きているということでしょう。


(2)特定秘密を保有する行政機関の長は、指定された特定秘密ごとに特定秘密が記録された文書等の名称の一覧(特定秘密文書等管理簿)を、特定秘密ごとの文書等の件数とともに当審査会に提出すること。文書等の名称からその内容が推察しにくい場合は、文書等の内容を示す名称をもって説明すること。
 内閣府独立公文書管理監は、特定秘密文書等管理簿を提出させ、それを基に文書等の内容を示す名称となっているか否かを審査し、不適切と思料するものについては改めること及びこれらの経過につき当審査会に報告することについて検討すること。

(1)に関連して、「特定秘密文書等管理簿」を提出せよという意見。
審査会には「指定」管理簿は提出されますが、「文書」管理簿は提出されません。
「指定」管理簿は「こういった情報類型を特定秘密にします」という管理簿であるにすぎません。実際に管理しているのは「文書」管理簿です。
こちらを出さないと監視ができないと主張しています。

後半部分は、文書管理簿を見ることができる独立公文書管理監(内閣府で特定秘密保護法の監視を担う)が、審査会に報告をすることを検討せよということです。
これは(6)とも関係しますが、国会の審査会と内閣府の独立公文書管理監との関係は現在何も考えられていないため、そこを繋いで国会への報告義務を課そうとしています。

この(2)の部分はかなり重要な意味を持つと考えます。

国会が監視するとしても、全ての文書をフラットに監視できるわけではありません。
リストなどを用いて問題のある書類をピックアップして検証するという作業になる以上、まともなリストが提出されていない限り、機能は制限されることになります。


(3)特定秘密を指定する行政機関において、特定秘密を含む文書等の保存期間は、当該特定秘密の指定期間に合わせることも考慮した上で、それ以前の保存期間を設定する場合や特定秘密の指定期間満了前に当該特定秘密を含む文書等を廃棄する場合には、内閣府独立公文書管理監に合理的な説明を行うこととし、独立公文書管理監は、上記の運営状況について、定期的に当審査会に対し報告することとする制度を構築するよう検討すること。
 また、1年間に廃棄した文書等及び今後1年以内に廃棄予定の文書等(特定秘密の指定期間が切れる場合を含む。)について、その件数と、文書等の名称(名称から文書等の内容が推察しにくい場合はその内容)を当審査会に報告すること。

さらっと間に挟まっているが、かなり重要な事実が明らかになっています。
以前から私はブログでこの危惧を書いていましたが、文書の保存期間が満了した時に「特定秘密」の指定期間が残っていた場合、特定秘密を解除せずに廃棄することを、この法律は排除していません。

行政文書は、公文書管理法に基づいて、移管して国立公文書館等で永久に保存するか、廃棄するかの選択をしなければなりません。
廃棄をする際には「内閣総理大臣」と「協議」し「同意」を得る必要があります。
現在は、内閣府公文書管理課が審査し、国立公文書館が助言をしているという形で運用されています。

この(3)では、特定秘密のまま文書が廃棄されることを前提として話が進められており、さらに「内閣総理大臣」との「協議」「同意」の相手を、独立公文書管理監にしようとしています。
しかも「合理的な説明」としか書いていないので、事実上各行政機関の意志を追認するだけとして独立公文書管理監を位置づけようとしています。
監視機関をむしろ「合法的に捨てる隠れ蓑」にしようとしているようにも見えます。

特定秘密の廃棄はあくまでも緊急事態(戦地などで相手に文書が奪われそうになった時)に留めるべきであり、通常の廃棄をする際には、一度特定秘密は解除するか、公文書管理課や国立公文書館の担当職員に適性検査を受けさせて特定秘密を扱えるようにして、いま行われている方法で審査するべきだと思います。


(4)政府においては、当審査会への説明に際し、特定秘密以外の秘密等不開示情報の解除など事前に十分な準備を行ってから審査会に出席し、答弁すること。特に、国会に対する説明責任と審査会に対する情報提供の在り方について改めて検討すること。

これは、審査会の場で官僚側が、特定秘密でないことすら答弁拒否を続けたことに対する、審査会側の不満がストレートに反映されているところです。
答弁拒否をせずにきちんと説明せよということでしょう。


(5)特定秘密指定管理簿及び特定秘密指定書の内容について、不開示部分とされている部分を除き、各行政機関の長が積極的に公表すること及び内閣情報調査室は、これらの公表結果を取りまとめ、特定秘密全体の指定件数とともに総括的な閲覧を可能とすることについて検討を行うこと。また、特定秘密指定管理簿の特定秘密の概要の記載について、他省庁と同様の記述となっているものについては、審査会においてそれぞれの相違点を明確に答弁すること。

公開できる情報は自ら積極的に公開するべきという主張です。
こういった地道な情報開示は重要だと思います。


(6)内閣府独立公文書管理監の活動・機能等について当審査会として重大な関心を持っていることから、審査会に定期的に活動状況報告を行うこととする運用基準の改正等を検討すること。

独立公文書管理監を国会が監視するという仕組みを作りたいということです。
監視機関を監視するということですね。

さて、この6項目ですが、(3)は保留しますが、それ以外は「勧告」として行うべきものだったと思います。

「意見」はあくまでも「参考」にすぎません。
ただ、「勧告」であったならば、勧告に対してどのように対処したかの報告を求めることができます。
つまり、応答義務が各行政機関に発生します。

衆議院の提案は、実際に監視をきちんと行おうとするための基本的なインフラにあたる部分です。
これが整備されることは、監視のための大前提です。
勧告という強制力が働く方法で出すべき主張だったと思います。

1年目ということで、まずは仕組みを整えるところが議論の中心になったのはやむを得ないことかもしれません。
ただ、限界はあるにせよ、少しでも監視機能が有効的に使える仕組みを整え、特定秘密の歯止めのない拡大を阻止することが必要だと思います。

他に気づいたことがあれば、別途追加して書こうと思います。
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